延光寺

延光寺（えんこうじ）について

高知県宿毛市に位置する延光寺は、真言宗智山派に属する寺院であり、赤亀山（しゃっきざん）や寺山院（じさんいん）と呼ばれています。この寺院は、四国八十八箇所の39番札所でもあり、本尊は薬師如来です。延光寺は信仰の対象としてだけでなく、訪れる人々に深い歴史と文化的な魅力を提供しています。

延光寺の本尊と神恵

本尊の真言は「おん ころころ せんだりまとうぎ そわか」であり、このお経を唱えることで、信者は病気や不安をなくすことを願います。ご詠歌には「南無薬師諸病悉除（しつじょ）の願（がん）こめて　詣（まい）るわが身を助けましませ」として、多くの信者がその功徳を求めて訪れます。寺院の納経印は、白衣の背中に亀の印が描かれており、これも信仰の一環です。

延光寺の歴史

延光寺の成立は聖武天皇の勅命によるもので、神亀元年（724年）、行基が薬師如来を刻み本尊として設立されました。当初は亀鶴山施薬院宝光寺と呼ばれ、その後に桓武天皇の勅願所となります。さらに、空海（弘法大師）がこの地を訪れ、寺院の再建と脇侍の菩薩像を安置するなど、重要な役割を果たしました。

伝説によると、延喜11年（911年）には赤亀がここから消え、やがて竜宮城から銅の梵鐘を背負って戻ってきたことから、寺院の名前が今のように改名されたとされています。天正7年（1579年）には長曽我部元親が当寺の坊の一つである南光院の院主を呼び寄せ、当寺の住職像が強化された後、寺は繁栄を誇ることになります。

しかし、長宗我部家が滅亡した後は寺院は徐々に衰退しました。明治の初めには廃仏毀釈の影響で一時廃寺となり、その後明治22年に再興されました。

境内の構成

延光寺の境内には、主な建物として山門（仁王門）、本堂、大師堂、鐘楼、護摩堂があります。特に大師堂では大師像を拝顔することが可能で、多くの信者が訪れています。加えて、境内には熊野十二社宮や眼洗いの井戸があり、大師が「宝医水」と名付けたこの井戸は眼病に効くと言われて親しまれています。

さらに、境内には赤亀と梵鐘の像があり、伝説にちなんだ7つの亀が安置されています。

自然との調和

延光寺の庭園には、池泉式と枯山水式が設計されており、訪れる人々に穏やかな自然の美を提供しています。また、周辺には句碑が点在し、多くの芸術家や詩人の名作を感じることができます。

文化財とアクセス

重要文化財として、平安時代前期の銅鐘があり、これは延喜11年に鋳造されたもので、歴史的な価値を持ちます。さらに、本尊や脇佛はそれぞれ重要な文化財として認定されています。

アクセス方法

延光寺へのアクセスは、土佐くろしお鉄道宿毛線の平田駅から2.5kmの距離にあります。バスや車を利用することもでき、周囲は自然に囲まれた静かな環境です。

まとめ

高知県宿毛市にある延光寺は、歴史的な背景と美しい自然が共存する場所であり、人々に信仰や精神的な安らぎを提供する寺院です。訪れることで、日本の仏教文化を身近に感じることができる貴重なスポットです。

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