大原野神社

大原野神社

大原野神社は、京都市西京区大原野南春日町に鎮座する神社です。春日大社から勧請されたことから、「京春日」とも呼ばれ、藤原氏の氏神として知られています。かつては官幣中社であり、現在は神社本庁の別表神社となっています。

歴史

大原野神社は、平安京以前からの歴史を持つ古社で、その起源は延暦3年（784年）に桓武天皇が長岡京へ遷都した際に、皇后の藤原乙牟漏が藤原氏の氏神である春日大社の分霊を大原野に祀ったことに遡ります。当初の鎮座地については諸説ありますが、延喜式神名帳に記載される入野神社が有力とされています。

その後、嘉祥3年（850年）には文徳天皇によって現在の地に社殿が造営され、当社の西にある勝持寺が別当寺となりました。貞観3年（861年）以降、皇后の参拝や天皇の行幸が度々行われ、藤原氏だけでなく朝廷からも厚い崇敬を受け、平安時代には二十二社に列せられました。特に、藤原氏の家に女の子が生まれると、その子が皇后や中宮になれるよう祈願する慣習があり、成就すると盛大な参詣が行われたと伝えられています。

室町時代末期の戦乱で社領を失い、応仁の乱後には一時荒廃しましたが、江戸時代に入り後水尾上皇の頃から復興が進められました。文政5年（1822年）には本殿四棟が再建され、幕末の慶応元年（1865年）には官祭が復興しました。明治時代に入り、神仏分離が行われると、当社と勝持寺の関係は解消され、1871年には官幣中社に列せられました。1948年には神社本庁の別表神社に加列されています。

祭神

大原野神社の祭神は、春日大社と同じく以下の四柱です。これらは「春日神」と総称されます。

武御賀豆智命（たけみかづちのみこと）
伊波比主命（ふつぬしのみこと）
天之子八根命（あめのこやねのみこと）
比咩大神（ひめおおかみ）

境内

境内には、春日大社と同様に一間社春日造の社殿が四棟並ぶ本殿があり、それぞれに祭神が祀られています。また、回廊、中門、神輿庫、神饌所、社務所などの施設があります。その他、以下のような見どころがあります。

千眼桜：数日間しか咲かないことから「幻の桜」とも呼ばれています。
鯉沢池：文徳天皇が奈良の猿沢池を模して造ったと伝えられています。
瀬和井：清和天皇産湯の清水ともいわれています。
相撲場：土俵が設置されています。

摂末社

境内には、本社の他に以下の摂末社があります。

若宮社：天忍雲根命を祀る摂社で、境内最古の建物です。2017年に京都市指定有形文化財に指定されました。
樫本神社：仁徳天皇を祀る境外摂社です。伊勢神宮の古殿舎を譲り受けて建て替えられました。
八坂社
稲荷社
八幡社：八幡神を祀り、白髭社、藤森社も併せて祀っています。
祓戸社
地主社

文化財

大原野神社は多くの文化財を所有しています。

京都市指定有形文化財

大原野神社 8棟（建造物）：本殿4棟、中門1棟、東西廊2棟、若宮社1棟。
本殿：4棟。
中門：1棟。
東西廊：2棟。
摂社若宮社：1棟。

京都市登録無形民俗文化財

大原野神社の神相撲：2015年登録。

所在地

京都府京都市西京区大原野南春日町1152

交通アクセス

阪急バス：東向日駅または向日町駅から「南春日町」バス停下車、徒歩約7分。
京都市営バス：桂駅から「南春日町」バス停下車、徒歩約7分。

周辺情報

大原野神社の周辺には、以下の寺院があります。

正法寺
勝持寺
十輪寺
善峯寺
三鈷寺

関連情報

関連図書

安津素彦・梅田義彦編集兼監修者『神道辞典』神社新報社、1968年
白井永二・土岐昌訓編集『神社辞典』東京堂出版、1979年
菅田正昭『日本の神社を知る「事典」』日本文芸社、1989年
上山春平他『日本「神社」総覧』新人物往来社、1992年

外部リンク

* 大原野神社公式サイト

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