延暦儀式帳

延暦儀式帳の概要

延暦儀式帳（えんりゃくぎしきちょう）は、伊勢神宮に関連する二つの儀式書を総称した名称です。これらは、内宮を中心とした『皇太神宮儀式帳』と、外宮に関する『止由気宮儀式帳』の二つです。平安時代に成立したこの文書は、現在残されている伊勢神宮に関する記録の中で最も古いものとなります。

制定の背景

この儀式帳は、伊勢神宮を熱心に崇敬していた桓武天皇の命によって編纂が始まりました。祭祀に関する知識を持つ禰宜や大内人などの専門家たちが作成しました。804年（延暦23年）、この二つの儀式書は神祇官を経由して太政官に提出され、その後正式に成立しました。このようにして编纂された儀式帳は、伊勢神宮の信仰の体系を体系的に記録した重要な文献です。

内容の詳細

皇太神宮儀式帳

『皇太神宮儀式帳』は、1巻・23条から構成されていて、804年の8月28日に大宮司や禰宜、大内人によって神祇官に提出されました。その内容には、以下のような情報が含まれています。

• - 年中行事の概要
• - 神々の鎮座に関する伝説
• - 宮域や殿舎の構造や様式
• - 祭祀に使われる装束や神宝の詳細
• - 遷宮行事の手続き
• - 禰宜や神官が担う職務の内容
• - 神郡や神田の管理運営に関する事項
• - 所管する神社の情報
• - 三節祭における朝夕の大御饌の儀式
• - 御調、荷前供奉、幣帛の扱い

これらの情報は、昔の伊勢神宮の運営や祭祀がどのように行われていたかを理解するのに貴重です。

止由気宮儀式帳

一方、『止由気宮儀式帳』は1巻・9条構成で、同様に804年に禰宜によって神祇官に提出されました。内容には、次の項目が含まれています。

• - 豊受大神宮の祭儀や殿舎の構造
• - 遷宮行事に関する詳細
• - 鎮座の由来
• - 摂社や所管する社
• - 職員の職掌について
• - 朝夕の大御饌に関する行事

この帳の特徴として、終わりの部分に『皇太神宮儀式帳』にはない「神祇官検」の印が見られます。これは、この文書の正式な性格を示すものとされています。

まとめ

延暦儀式帳は、平安時代初期の伊勢神宮における重要な儀式や祭りの様子を知る上で欠かせない資料です。これにより、古代日本の宗教観や祭祀の形態が浮かび上がり、今後の研究にも大いに貢献することでしょう。

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