建畠晢

建畠晢：詩と美術を繋ぐ、現代美術の第一人者

建畠晢（たてはた あきら）氏は、1947年生まれの日本の詩人、美術評論家であり、現代美術界における重鎮です。そのキャリアは、詩作から美術批評、そして美術教育機関や美術館のトップとしての行政業務まで多岐に渡り、それぞれの分野で卓越した功績を残しています。

氏は、彫刻家である父・建畠覚造氏、祖父・建畠大夢氏、兄・建畠朔弥氏の血を受け継ぎ、芸術一家に生まれ育ちました。早稲田大学文学部仏文学科卒業後、「芸術新潮」編集者を経て国立国際美術館主任研究官に就任。その後、多摩美術大学教授、学長を歴任し、国立国際美術館長、京都市立芸術大学学長、埼玉県立近代美術館館長といった要職を歴任しました。その間、コロンビア大学客員研究員や東京藝術大学客員教授なども務め、国際的な視野も磨いてきました。

美術行政における貢献も多大です。ヴェネチア・ビエンナーレ日本館コミッショナーを複数回務めた他、横浜トリエンナーレのアーティスティック・ディレクター、あいちトリエンナーレの芸術監督も歴任。これらの国際的な舞台での活躍は、日本の現代美術を世界に発信する上で大きな役割を果たしました。特に、あいちトリエンナーレ2019では芸術監督選考委員会の委員長を務め、津田大介氏の選任に尽力しました。同トリエンナーレ委員会委員も務め、現代美術界の動向に深く関与し続けています。

美術評論家としての活動も顕著です。多くの著作で現代美術を深く掘り下げ、その鋭い洞察力と批評性は高く評価されています。著書には、『問いなき回答 オブジェと彫刻』、『未完の過去 絵画とモダニズム』などがあり、現代美術史、美術理論に多大な貢献をしました。また、共編著も多く手がけ、現代アートの普及にも力を注いでいます。

詩人としては、数々の詩集を発表し、高い評価を得ています。第2回歴程新鋭賞、第35回高見順賞、第21回萩原朔太郎賞と、主要な文学賞を受賞しており、その詩作は現代社会への鋭い批評性と、独特の感性が融合したものです。代表作として、『余白のランナー』『零度の犬』『死語のレッスン』などが挙げられます。

建畠氏は、美術評論家、詩人、そして美術行政の指導者という、多様な顔を持つ稀有な存在です。その活動は、現代美術の理解を深め、その発展に大きく貢献してきました。今後も、その多角的な視点と卓越した能力で、日本の文化芸術シーンを牽引していくことが期待されています。彼の活動は、単なる美術界の枠を超え、現代社会全体に大きな影響を与え続けています。様々な立場から現代美術に携わり、その未来を展望し続ける建畠氏の今後の活躍に期待したいところです。

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