高見順賞
高見順賞は、日本の詩における優れた業績を顕彰するために設けられた文学賞です。この賞は、高見順文学振興会によって主催され、毎年、前年の12月1日からその年の11月30日までに刊行された詩集を対象として選考が行われ、翌年の1月に受賞者が発表されていました。
選考は、詩壇を代表する著名な詩人たちによって構成される選考委員会によって行われていました。例えば、2018年度の選考委員には、天沢退二郎、高橋睦郎、小池昌代、伊藤比呂美、松浦寿輝といった、現代詩の第一線で活躍する詩人たちが名を連ねていました。
この賞の特色として、特定の流派や傾向に偏ることなく、幅広い作風の詩集が選ばれていた点が挙げられます。初期の受賞者には、三木卓や吉増剛造といった、戦後詩を代表する詩人たちが名を連ね、その後も、飯島耕一、谷川俊太郎、吉岡実など、日本の現代詩を語る上で欠かせない詩人たちが受賞しています。また、中堅から若手の詩人にも積極的に賞が与えられ、詩壇の活性化にも貢献しました。全50回という区切りをもって終了しましたが、その歴史の中で、数多くの優れた詩作品が世に送り出され、日本の詩文化に大きな足跡を残しました。
受賞作品を振り返ると、各詩人の独創的な世界観や、時代を映す詩風の変化を垣間見ることができます。例えば、初期の受賞作には、三木卓の『わがキディ・ランド』や吉増剛造の『黄金詩篇』など、戦後詩の新しい地平を切り開いた作品が見られます。その後も、吉原幸子の『オンディーヌ』や飯島耕一の『ゴヤのファースト・ネームは』など、詩の可能性を追求する意欲的な作品が選ばれています。また、高橋睦郎や松浦寿輝など、現代詩を代表する詩人の受賞も、この賞の権威を高める要素となりました。さらに、近年では、川上未映子の『水瓶』や財部鳥子の『氷菓とカンタータ』など、新しい世代の詩人たちの作品も評価され、高見順賞が、常に詩壇の最前線を捉えようとする姿勢を示していました。
高見順賞は、詩人たちにとって、その作品が広く社会に認知される重要な機会でした。受賞作品は、詩集として刊行されるだけでなく、新聞や雑誌などのメディアにも取り上げられ、多くの読者に読まれるきっかけとなりました。この賞が、日本の詩文化の発展に果たした役割は非常に大きく、その影響は、今後も長く語り継がれていくでしょう。
以下に、第1回から第50回までの主な受賞作品を掲載します。
第1回から第10回
第1回（1971年）：三木卓『わがキディ・ランド』、吉増剛造『黄金詩篇』
第2回（1972年）：粕谷栄市『世界の構造』
第3回（1973年）：中江俊夫『語彙集』
第4回（1974年）：吉原幸子『オンディーヌ』、『昼顔』
第5回（1975年）：飯島耕一『ゴヤのファースト・ネームは』
第6回（1976年）：谷川俊太郎『定義』
第7回（1977年）：吉岡実『サフラン摘み』
第8回（1978年）：粒来哲蔵『望楼』
第9回（1979年）：長谷川龍生『詩的生活』
第10回（1980年）：渋沢孝輔『廻廊』
第11回から第20回
第11回（1981年）：安藤元雄『水の中の歳月』
第12回（1982年）：鷲巣繁男『行為の歌』
第13回（1983年）：入沢康夫『死者たちの群がる風景』
第14回（1984年）：三好豊一郎『夏の淵』
第15回（1985年）：天沢退二郎『〈地獄〉にて』
第16回（1986年）：新藤凉子『薔薇ふみ』、岡田隆彦『時に岸なし』
第17回（1987年）：川崎洋『ビスケットの空カン』
第18回（1988年）：高橋睦郎『兎の庭』、松浦寿輝『冬の本』
第19回（1989年）：阿部岩夫『ベーゲェット氏』、高柳誠『都市の肖像』
第20回（1990年）：岩成達也『フレベヴリィ・ヒツポポウタムスの唄』
第21回から第30回
第21回（1991年）：小長谷清実『脱けがら狩り』、辻征夫『ヴェルレーヌの余白に』
第22回（1992年）：佐々木幹郎『蜂蜜採り』
第23回（1993年）：辻井喬『群青、わが黙示』、新井豊美『夜のくだもの』
第24回（1994年）：吉田加南子『定本－闇』
第25回（1995年）：井坂洋子『地上がまんべんなく明るんで』
第26回（1996年）：瀬尾育生『DEEP PURPLE』
第27回（1997年）：白石かずこ『現れるものたちをして』
第28回（1998年）：荒川洋治『渡世』
第29回（1999年）：塔和子『記憶の川で』
第30回（2000年）：小池昌代『もっとも官能的な部屋』、野村喜和夫『風の配分』
第31回から第40回
第31回（2001年）：田口犬男『モー将軍』
第32回（2002年）：鈴木志郎康『胡桃ポインタ』、阿部日奈子『海曜日の女たち』
第33回（2003年）：藤井貞和『ことばのつえ、ことばのつえ』
第34回（2004年）：中上哲夫『エルヴィスが死んだ日の夜』
第35回（2005年）：相澤啓三『マンゴー幻想』、建畠晢『零度の犬』
第36回（2006年）：伊藤比呂美『河原荒草』
第37回（2007年）：岬多可子『桜病院周辺』
第38回（2008年）：北川透『溶ける、目覚まし時計』、稲川方人『聖－歌章』
第39回（2009年）：高貝弘也『子葉声韻』
第40回（2010年）：岡井隆『注解する者』、岸田将幸『〈孤絶―角〉』
第41回から第50回
第41回（2011年）：金時鐘『失くした季節』
第42回（2012年）：辺見庸『眼の海』
第43回（2013年）：川上未映子『水瓶』
第44回（2014年）：吉田文憲『生誕』
第45回（2015年）：杉本真維子『裾花』
第46回（2016年）：財部鳥子『氷菓とカンタータ』、川口晴美『Tiger is here.』
第47回（2017年）：齋藤恵美子『空閑風景』
第48回（2018年）：貞久秀紀『具現』
第49回（2019年）：時里二郎『名井島』
第50回（2020年）：江代充『切抜帳』
選考は、詩壇を代表する著名な詩人たちによって構成される選考委員会によって行われていました。例えば、2018年度の選考委員には、天沢退二郎、高橋睦郎、小池昌代、伊藤比呂美、松浦寿輝といった、現代詩の第一線で活躍する詩人たちが名を連ねていました。
この賞の特色として、特定の流派や傾向に偏ることなく、幅広い作風の詩集が選ばれていた点が挙げられます。初期の受賞者には、三木卓や吉増剛造といった、戦後詩を代表する詩人たちが名を連ね、その後も、飯島耕一、谷川俊太郎、吉岡実など、日本の現代詩を語る上で欠かせない詩人たちが受賞しています。また、中堅から若手の詩人にも積極的に賞が与えられ、詩壇の活性化にも貢献しました。全50回という区切りをもって終了しましたが、その歴史の中で、数多くの優れた詩作品が世に送り出され、日本の詩文化に大きな足跡を残しました。
受賞作品を振り返ると、各詩人の独創的な世界観や、時代を映す詩風の変化を垣間見ることができます。例えば、初期の受賞作には、三木卓の『わがキディ・ランド』や吉増剛造の『黄金詩篇』など、戦後詩の新しい地平を切り開いた作品が見られます。その後も、吉原幸子の『オンディーヌ』や飯島耕一の『ゴヤのファースト・ネームは』など、詩の可能性を追求する意欲的な作品が選ばれています。また、高橋睦郎や松浦寿輝など、現代詩を代表する詩人の受賞も、この賞の権威を高める要素となりました。さらに、近年では、川上未映子の『水瓶』や財部鳥子の『氷菓とカンタータ』など、新しい世代の詩人たちの作品も評価され、高見順賞が、常に詩壇の最前線を捉えようとする姿勢を示していました。
高見順賞は、詩人たちにとって、その作品が広く社会に認知される重要な機会でした。受賞作品は、詩集として刊行されるだけでなく、新聞や雑誌などのメディアにも取り上げられ、多くの読者に読まれるきっかけとなりました。この賞が、日本の詩文化の発展に果たした役割は非常に大きく、その影響は、今後も長く語り継がれていくでしょう。
以下に、第1回から第50回までの主な受賞作品を掲載します。
第1回から第10回
第1回（1971年）：三木卓『わがキディ・ランド』、吉増剛造『黄金詩篇』
第2回（1972年）：粕谷栄市『世界の構造』
第3回（1973年）：中江俊夫『語彙集』
第4回（1974年）：吉原幸子『オンディーヌ』、『昼顔』
第5回（1975年）：飯島耕一『ゴヤのファースト・ネームは』
第6回（1976年）：谷川俊太郎『定義』
第7回（1977年）：吉岡実『サフラン摘み』
第8回（1978年）：粒来哲蔵『望楼』
第9回（1979年）：長谷川龍生『詩的生活』
第10回（1980年）：渋沢孝輔『廻廊』
第11回から第20回
第11回（1981年）：安藤元雄『水の中の歳月』
第12回（1982年）：鷲巣繁男『行為の歌』
第13回（1983年）：入沢康夫『死者たちの群がる風景』
第14回（1984年）：三好豊一郎『夏の淵』
第15回（1985年）：天沢退二郎『〈地獄〉にて』
第16回（1986年）：新藤凉子『薔薇ふみ』、岡田隆彦『時に岸なし』
第17回（1987年）：川崎洋『ビスケットの空カン』
第18回（1988年）：高橋睦郎『兎の庭』、松浦寿輝『冬の本』
第19回（1989年）：阿部岩夫『ベーゲェット氏』、高柳誠『都市の肖像』
第20回（1990年）：岩成達也『フレベヴリィ・ヒツポポウタムスの唄』
第21回から第30回
第21回（1991年）：小長谷清実『脱けがら狩り』、辻征夫『ヴェルレーヌの余白に』
第22回（1992年）：佐々木幹郎『蜂蜜採り』
第23回（1993年）：辻井喬『群青、わが黙示』、新井豊美『夜のくだもの』
第24回（1994年）：吉田加南子『定本－闇』
第25回（1995年）：井坂洋子『地上がまんべんなく明るんで』
第26回（1996年）：瀬尾育生『DEEP PURPLE』
第27回（1997年）：白石かずこ『現れるものたちをして』
第28回（1998年）：荒川洋治『渡世』
第29回（1999年）：塔和子『記憶の川で』
第30回（2000年）：小池昌代『もっとも官能的な部屋』、野村喜和夫『風の配分』
第31回から第40回
第31回（2001年）：田口犬男『モー将軍』
第32回（2002年）：鈴木志郎康『胡桃ポインタ』、阿部日奈子『海曜日の女たち』
第33回（2003年）：藤井貞和『ことばのつえ、ことばのつえ』
第34回（2004年）：中上哲夫『エルヴィスが死んだ日の夜』
第35回（2005年）：相澤啓三『マンゴー幻想』、建畠晢『零度の犬』
第36回（2006年）：伊藤比呂美『河原荒草』
第37回（2007年）：岬多可子『桜病院周辺』
第38回（2008年）：北川透『溶ける、目覚まし時計』、稲川方人『聖－歌章』
第39回（2009年）：高貝弘也『子葉声韻』
第40回（2010年）：岡井隆『注解する者』、岸田将幸『〈孤絶―角〉』
第41回から第50回
第41回（2011年）：金時鐘『失くした季節』
第42回（2012年）：辺見庸『眼の海』
第43回（2013年）：川上未映子『水瓶』
第44回（2014年）：吉田文憲『生誕』
第45回（2015年）：杉本真維子『裾花』
第46回（2016年）：財部鳥子『氷菓とカンタータ』、川口晴美『Tiger is here.』
第47回（2017年）：齋藤恵美子『空閑風景』
第48回（2018年）：貞久秀紀『具現』
第49回（2019年）：時里二郎『名井島』
第50回（2020年）：江代充『切抜帳』
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