建礼門院右京大夫

建礼門院右京大夫（けんれいもんいんうきょうのだいぶ）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した女流歌人です。保元2年（1157年）頃に生まれたとされ、没年は определено. 父は藤原（世尊寺）伊行、母は箏の名手として知られる夕霧で、大神基政の娘でした。彼女の本名は伊子という説もあります。

承安3年（1173年）、高倉天皇の中宮である建礼門院平徳子に右京大夫として出仕し、宮廷歌人としてのキャリアをスタートさせました。宮仕えの中で、藤原隆信、平資盛という二人の男性と恋愛関係にあったことが知られています。特に平資盛の死後、その供養のために旅に出たという逸話が残されています。建久6年（1195年）頃には、後鳥羽天皇に再び出仕しています。

彼女の代表作は、家集である『建礼門院右京大夫集』です。この歌集には、隆信や資盛との恋を詠んだ歌が数多く収録されており、彼女の感情豊かな内面を垣間見ることができます。また、『山路の露』の作者であるという説も存在します。

彼女の歌は、当時の宮廷文化や恋愛観を反映しており、後世の文学作品にも影響を与えました。以下に、彼女の代表的な和歌をいくつか紹介します。

いかにせむわが後の世はさてもなほ昔の今日を問ふ人もがな
書きつけばなほもつつまし思ひ嘆く心のうちを星よ知らなむ
七夕のけふやうれしさ包むらむあすの袖こそかねて知らるれ
さまざまに思ひやりつつよそながらながめかねぬる星合の空
天の河漕ぎはなれゆく舟の中のあかぬ涙の色をしぞ思ふ
きかばやなふたつの星の物語りたらひの水にうつらましかば
なにごとをまづかたるらむ彦星の天の河原に岩枕して
天の河けふの逢ふ瀬はよそなれど暮れゆく空をなほも待つかな
ながむれば心もつきて星合の空にみちぬるわが思ひかな
いつまでか七 (ななつ) のうたを書きつけむ知らばやつげよ天の彦星

彼女の生涯は、小説やテレビドラマ、アニメーションなど、様々な形で描かれています。

小説：『建礼門院右京大夫』（1975年、大原富江著、講談社）
テレビドラマ：
『女人平家』（1971年、朝日放送、演：山下富美代） - 役名は奈々
『新・平家物語』（1972年、NHK大河ドラマ、演：北川美佳）
『武蔵坊弁慶』（1986年、NHK新大型時代劇、演：真野あずさ）
アニメーション：『平家物語』（2022年、フジテレビ、制作：サイエンスSARU、監督：山田尚子、声：本泉莉奈）

これらの作品を通じて、彼女の人物像や時代背景に触れることができます。

関連項目としては、以下のものが挙げられます。

建礼門院右京大夫集
夜鶴庭訓抄

建礼門院右京大夫は、その歌を通じて、平安時代末期の女性の心情を現代に伝える貴重な存在と言えるでしょう。

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