有馬氏倫

有馬氏倫（ありま うじのり）

有馬氏倫は、江戸時代中期に活躍した旗本であり、後に大名となった人物です。彼は、江戸幕府第8代将軍である徳川吉宗が紀州藩主であった時代からその側近として仕え、吉宗の信頼が厚く、幕政においても重要な役割を担いました。特に、伊勢西条藩の初代藩主となったことで知られています。

生涯

寛文8年（1668年）、有馬氏倫は紀州藩士である有馬義景の子として紀伊国和歌山に誕生しました。幼少の頃より、徳川吉宗に仕え、紀州藩主時代から側近として重用され、御用役兼番頭に任じられました。この時、1,300石を与えられ、吉宗を支えました。

享保元年（1716年）5月1日、徳川吉宗が江戸幕府第8代将軍に就任すると、氏倫もこれに従って江戸に移り、幕臣として仕えることとなりました。紀州時代からの側近であった加納久通と共に、側用人を廃して新たに設けられた御側御用取次に任命され、将軍と老中合議の仲介役を務め、吉宗主導の享保の改革において、その手腕を発揮し、多大な貢献をしました。

御側御用取次就任時、紀州藩時代と同じ石高である1300石を伊勢国三重郡内で与えられ、7月22日には従五位下兵庫頭に叙任されました。翌享保2年（1717年）1月11日には下野国芳賀郡内で1000石が加増されました。さらに、享保11年（1726年）1月11日、伊勢国多気郡・河曲郡・三重郡内、下野国河内郡内、上総国市原郡内において7700石の加増を受け、合計1万石を領する大名となりました。これにより、伊勢西条藩が立藩され、初代藩主となりました。享保12年（1727年）閏1月28日に領知朱印状が発給されています。しかし、氏倫自身は吉宗のそばを離れることなく、領地に赴くことはなく、藩政は代官に任せていました。享保13年（1728年）4月には、吉宗の日光参詣に供奉しました。享保17年（1732年）2月には、歩行による供奉を免除されるという特別な処遇を受けています。

享保20年（1735年）12月12日、有馬氏倫は68歳で生涯を閉じました。彼の遺体は渋谷の祥雲寺に葬られ、以後、祥雲寺は有馬家の菩提寺となりました。氏倫の跡は、養嗣子の氏久が継ぎました。

系譜

有馬氏倫の家系である「氏倫系有馬家」は、摂津有馬氏（室町幕府の重臣であった赤松氏の分家）の一族であり、筑後久留米藩初代藩主である有馬豊氏の三男、頼次を祖とします。頼次の養子となった吉政以来、紀州藩に仕え、氏倫は吉政から数えて3代目に当たります。

『寛政重修諸家譜』には、氏倫には庶出の2男1女（女子、弥平治、大助）がいたと記されています。娘は紀州藩士淡輪重賢に嫁ぎましたが、後に離婚し、大奥に老女として仕えました。

父母

父: 有馬義景
母: 建部光延の娘

正室

建部政宇の娘

子女

淡輪重賢室

養子

有馬氏久 - 渡辺恭綱の子

脚注

参考文献: 『寛政重修諸家譜』巻第四百七十

関連作品

八代将軍吉宗（NHK大河ドラマ、1994年）- 演：すまけい
暴れん坊将軍 - 名古屋章が演じた御側御用取次「有馬彦右衛門」は氏倫がモデル

有馬氏倫は、徳川吉宗を支え、その治世を助けた重要な人物として、歴史に名を残しています。

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