式守伊之助 (24代)

24代式守伊之助の生涯と業績

式守伊之助（しきもり いのすけ）、本名尾崎信雄は、大正8年（1919年）4月15日に香川県大川郡志度町（現さぬき市）で生まれました。彼の父は高砂部屋に所属していた元三段目力士で、相撲の世界に自然に触れながら育ったと言えるでしょう。式守伊之助は、相撲界の名望者23代木村庄之助（2代木村正直）の弟子として、初めて土俵に上がったのは1935年のことです。初代木村正義として名のる時期から、彼は長い道のりを歩んできました。

彼の昇進は順調で、1961年には三役格行司として国技館の舞台に立つようになりました。翌年には3代木村正直を襲名し、1977年に24代式守伊之助として立行司に昇進しました。これは、17年間の三役格行司としてのキャリアを経た後の重要な昇格であり、彼自身の努力の賜物でした。

しかし、式守伊之助の昇進は相撲界の複雑な背景と運にも影響されていました。行司のストライキが発生した1971年末のこと、抜擢制度の導入により、彼はやむを得ず伊之助止まりとなりましたが、1977年11月に立行司に昇格した際にはとても歓迎されました。これにより、彼は合計39場所の行司を勤め上げました。

彼は兵庫県に住まいを変えてからも、相撲界の発展に貢献してきました。相撲界では「プロレス行司」とも称されることもあり、彼の特異なスタイルは多くのファンに知られていました。特に待ったのかけ声や仕切り線に出る姿勢、軍配を返す瞬間が印象的で、数々の名勝負を見届ける存在として活躍しました。

伊之助時代の記憶に残る出来事は数多く、1972年の優勝決定戦や関脇長谷川と平幕魁傑との一戦、そして水入りの取組に至るまで、多くの名勝負を裁く役回りを果たしました。しかし、注意深い判断と冷静な裁定能力で知られる一方、彼自身も時には苦労を伴った場面もありました。

たとえば、1981年には関脇朝汐が待ったを認められなかったことが議論を呼びました。伊之助は「残った」という自身の判断に依存したため、一部から反発も受けたものの、その姿勢は評価されていました。こうした姿勢は、相撲に対する真剣な取り組みと誠実さを示すものです。

1984年3月には、彼の現役最後の取組が行われ、若嶋津と琴風の大関対決が見られました。これにより、彼の長年にわたる行司としてのキャリアに幕が降りることとなりました。退職後は、岡山県で穏やかな生活を送ることとなりましたが、弟子の木村正直を早くに失った悲しみは大きかったでしょう。

式守伊之助は2013年2月1日に、鬱血性心不全により94歳でこの世を去りました。彼の残した功績と魅力的な性格は、相撲界のみならず多くの人々の記憶に刻まれ続けることでしょう。彼の生涯は、相撲という日本の伝統文化に深く関わり、多大な影響をもたらしました。

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