弓張岳

弓張岳について

弓張岳（ゆみはりだけ）は、長崎県佐世保市にある標高364メートルの山です。この名峰は、佐世保市中心部の西方に位置しており、南には但馬岳（361メートル）、将冠岳（445メートル）と続く山々が点在しています。この山の頂上付近には、坪井善勝が設計したコンクリート製の弓張岳展望台があり、この展望台からは佐世保市街や米軍基地、SSK（佐世保重工業）船ドック群、そして西側に広がる九十九島の美しい風景が楽しめます。

弓張岳は西海国立公園内に含まれており、佐世保を代表する観光地の一つとなっています。その景観の美しさから、訪れる観光客や地元の人々が多く、特に夜景が絶景であることから「夜景100選」にも選定されています。また、展望台から少し離れたところには、旧日本海軍の防空拠点であった円形の砲台跡も見られ、歴史的な遺構が点在しています。さらに、西九州道の建設により、弓張岳の地下水資源が減少したという背景も抱えています。

観光の歴史

弓張岳の観光開発は、戦前の鵜渡越開発と西海国立公園の制定時における開発に大別されます。

戦前の開発

弓張岳の観光地としてのルーツは、1916年（大正5年）に遡ります。この年、実業家の松尾良吉が鵜渡越を訪れ、九十九島の美しい眺めを発見しました。これがきっかけとなり、観光地の建設へと意欲が高まりました。松尾は弓張岳の観光開発の先駆者として知られており、彼の功績を称える顕彰碑がうど越バス停の近くに建立されています。

松尾の手掛けた旧道は、桜並木が整備されており、当時は観光客が多く訪れました。特に、1920年には皇太子が佐世保を訪れる際に、急遽展望所が建設されるなど、その重要性が増していました。しかし、時は経ち、戦争の影響を受けるに従い、観光は次第に衰退していきます。

戦後の開発

1955年（昭和30年）に西海国立公園が指定された後、弓張岳への観光の注目が再び集まります。1957年には秩父宮妃が鵜渡越を訪れ、その後1965年には山頂に展望台が完成しました。この展望台の開設により、弓張岳は再び訪問者を惹きつけることとなります。

しかし、1975年からは観光事業が停滞し、観光客の減少が続きました。観光ホテルの倒産なども影響し、弓張岳の魅力が薄れていく時期を迎えます。

現代の弓張岳

1992年にはハウステンボスが開業し、観光客が戻り始めました。その後も観光地として華やかな復活を遂げ、老舗の観光ホテルも再生を果たしました。現在では、弓張岳展望台は多くの観光客に親しまれており、特に夜景を楽しむために足を運ぶ人々が増えています。

弓張岳のアクセスも良好で、佐世保駅から車で15分という距離にあり、西肥バスの運行も行われています。ただし、運行本数は限られているため、計画を立てる際には注意が必要です。

このように、弓張岳は古くからの観光地としての歴史を持ちながら、現在も多くの人々に親しまれています。自然の美しさと歴史、そして人々の努力によって魅力を保ちながら、弓張岳は今後も佐世保市民や観光客に愛され続けることでしょう。

もう一度検索