弘世助太郎

弘世助太郎：日本生命中興の祖

弘世助太郎（ひろせ すけたろう）は、明治4年12月9日（1872年1月18日）に生まれ、昭和11年（1936年）3月9日に没した実業家です。日本生命保険相互会社の三代目社長として、同社を再興した人物として知られています。娘婿には、同じく日本生命の社長を務めた弘世現がいます。

生涯と業績

弘世助太郎は、滋賀県彦根市で弘世助三郎の嫡男として生まれました。京都第三高等中学校を卒業後、父の事業を継ぐための基礎を築くべく、三菱合資銀行部、日本倉庫を経て山口銀行に入行しました。明治41年（1908年）には、父・助三郎の取締役退任に伴い、日本生命の取締役に就任しました。

山口銀行では支配人や監査役を歴任し、その後は関西信託や三和銀行の取締役も務めるなど、山口財閥と非常に密接な関係を築きました。昭和3年（1928年）12月29日に日本生命の社長に就任し、昭和11年（1936年）に亡くなるまでその職を務めました。

弘世助太郎には3人の娘がいましたが、男子はいませんでした。そのため、彼の遺言により、当時常務取締役であった成瀬達（弘世現の長兄）が四代目社長に就任しました。その後、助太郎の三女である芳子と結婚し、弘世家を継いだのが、成瀬現、すなわち弘世現でした。

中興の祖としての功績

日本生命は、二代目社長である片岡直温が1919年（大正8年）2月18日に辞任した後、社長不在の時代が続いていました。その間、弘世助太郎は専務として実質的に経営を担い、手腕を発揮しました。当時の保険業界は、不況に加え関東大震災による被害に見舞われるなど、苦難の時代にありました。

そのような状況下で、弘世は卓越した経営手腕を発揮し、日本生命を業界トップの地位に維持しました。特に、地方の富裕層を中心とした代理店による営業チャネルから、日本生命が直接雇用する営業社員による営業体制へと転換を図ったことは、その後の日本生命の発展に大きく貢献しました。これらの功績から、弘世助太郎は「中興の祖」と呼ばれるようになりました。

家系

神一行の著書『閨閥 改訂新版 特権階級の盛衰の系譜』によると、弘世家は元々嵯峨源氏の後裔で、由緒正しい旧家であったとされています。江戸時代に彦根城下に移り住み、商人として成功し、万延元年（1860年）の桜田門外の変以降は、彦根藩の御用金役を務めた家柄でした。

日本生命歴代社長

1. 鴻池善右衛門（初代社長）
2. 片岡直温（二代目社長）
3. 弘世助太郎（三代目社長）
4. 成瀬達（四代目社長、弘世現の兄）
5. 弘世現（五代目社長）

弘世助太郎は、激動の時代に日本生命を率い、その発展の基礎を築いた傑出した経営者でした。彼の功績は、今日の日本生命の隆盛に繋がっています。

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