弥山 (奈良県)

弥山（みせん）

概要

弥山は、奈良県吉野郡天川村に位置する標高1895mの山です。大峰[[山脈]]の中央部に位置し、その山容は雄大で、山頂付近は南北に長く平坦な地形となっています。奈良県内では八経ヶ岳に次ぐ標高を誇り、山域は吉野熊野国立公園の指定区域内にあります。

地理

弥山は、天川村の南東部に位置し、周囲には山上ヶ岳、稲村ヶ岳、大普賢岳、行者還岳、大台ヶ原山、八経ヶ岳、明星ヶ岳などの山々が連なっています。山頂南東部にある国見八方睨からは、これらの山々を一望できます。天候に恵まれれば、奈良盆地や大阪平野からもその姿を遠望することができます。

弥山を源流とする河川は、いずれも新宮川水系に属しています。西北には弥山川、東北には川迫川が流れ出し、これらの川は合流して天ノ川となります。南東には白川又川が流れ、北山川へと注ぎます。弥山川と白川又川はそれぞれ峡谷を形成しており、特に弥山川には双門峡と呼ばれる急峻な峡谷があります。

年間平均気温は約8度と冷涼で、大峰[[山脈]]全体の年間降水量は約3500mmと非常に多いのが特徴です。夏は多雨、冬は積雪が多く、山頂付近では美しい樹氷が見られます。

生態系

弥山は亜高山帯に属しており、主な植生は常緑針葉樹林です。山頂周辺にはトウヒやシラビソの原生林が広がっていますが、近年は樹木の立ち枯れも散見されます。隣接する八経ヶ岳にかけての山腹には、国の天然記念物であるオオヤマレンゲが自生しており、7月上旬には美しい花を咲かせます。ニホンジカによる食害から保護するため、周囲には防護柵が設置されています。その他、ハリブキやカニコウモリなどの植物も見られます。

弥山周辺には、シカ、イノシシ、ニホンカモシカ、ツキノワグマなど多様な野生動物が生息しています。弥山川や川迫川にはイワナが生息しており、特に弥山川上流は「イワナの棲息地」として奈良県の天然記念物に指定されています。

信仰

古くは深山や御山とも呼ばれていましたが、仏教用語の須弥山から転じて弥山と呼ばれるようになったとされています。奈良時代の遺物が山頂から出土しており、平安時代以降は修験道の行場として利用されてきました。大峯奥駈道にある75の靡のうち、第54番の行場です。第二次世界大戦後には女人禁制が解かれました。山頂には弥山弁財天社（弥山神社）があり、麓の天河大弁財天社の奥の院として信仰を集めています。

登山・観光

弥山への登山道は複数あり、大峯奥駈道の他に、天川川合や坪内から栃尾辻を経るルート、行者還トンネルから大峯奥駈道に合流するルート、そして弥山川を遡行するルートがあります。特に弥山川ルートは上り専用で、ハシゴや鎖場、痩せ尾根が続く難路として知られています。このルート沿いには、双門峡や仙人嵓、双門の滝などの見どころがあります。

山頂には弥山小屋があり、1957年に厚生省によって建設されました。その後、数回の改修を経て、1995年には宿泊施設と発電設備が充実した小屋に生まれ変わりました。

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