弥生 (文京区)

弥生：歴史と文化が交差する文京区の町

概要

東京都文京区にある弥生は、東京大学本郷キャンパスの一部、美術館、史跡などを擁する、歴史と文化が深く根付いた町です。郵便番号は113-0032で、弥生一丁目と弥生二丁目の2丁目から構成されています。その地名は、弥生式土器の発掘と、徳川斉昭の歌碑に由来する歴史的な背景を持っています。

地理的な位置と周辺環境

弥生は、東京大学本郷キャンパスの弥生地区と浅野地区に隣接しています。農学部や工学部といったキャンパス施設に加え、弥生美術館、竹久夢二美術館、立原道造記念館などの文化施設も存在します。また、サトウハチロー旧居跡碑も弥生二丁目に位置しています。

キャンパス内には、弥生時代の遺跡である弥生二丁目遺跡（向ヶ丘貝塚の可能性が高いと推測されています）があり、「弥生式土器発掘ゆかりの地」碑が建立されています。さらに、徳川斉昭の歌碑や方形周溝墓（復元）なども見られます。弥生地区には、旧制一高記念の向陵碑と朱舜水先生終焉之地碑があります。このように、弥生は歴史的な遺構と現代の教育研究機関が共存する独特の景観を形成しています。

歴史的背景

江戸時代には、水戸藩の中屋敷と播磨小笠原藩の下屋敷が存在していました。明治維新後、政府によってこれらの屋敷は没収され、この地域は「向ヶ岡弥生町」と命名されました。

町名の由来は、上野の忍ヶ岡に対する位置関係から「向ヶ岡」と名付けられ、「弥生」の部分は、水戸藩中屋敷にあった徳川斉昭の歌碑に刻まれた和歌の詞書「ことし文政十余り一とせといふ年のやよいの十日さきみだるさくらがもとにかくほかきつくこそ」に由来しています。この和歌は、文政年間の弥生十日頃に咲いた桜の美しさを詠んだものであり、この地名の由来は、この和歌と、1884年（明治17年）にこの地で発掘された弥生式土器に繋がっています。

その後、この地域の大部分は帝国大学（現在の東京大学）、第一高等学校（後に東京大学農学部）の敷地となり、警視庁の射撃場、弥生神社（弥生慰霊堂の前身）、浅野侯爵邸（現在の東京大学本郷キャンパス浅野地区）などが建てられました。1894年から1895年にかけて、言問通りが本郷通りまで延長され、弥生坂が開削されて町域は南北に分断されました。

1965年（昭和40年）の住居表示実施により、現在の弥生一丁目と弥生二丁目が成立しました。この際、一部の地域は根津一丁目に編入されましたが、サトウハチローら住民の反対運動により、1967年（昭和42年）に弥生二丁目に再編入されています。

交通アクセス

弥生へのアクセスは、東京メトロ南北線東大前駅、または東京メトロ千代田線根津駅からが便利です。特に弥生二丁目エリアや東京大学工学部へは、根津駅から弥生坂を登るルートが最短です。

施設

弥生には、東京大学本郷キャンパス、美術館、史跡など、様々な施設が集中しています。これらの施設は、教育、研究、文化活動の拠点として、地域社会に貢献しています。また、周辺には住宅地が広がり、静かで落ち着いた雰囲気のエリアです。

まとめ

弥生は、歴史と文化、そして教育研究の拠点が融合した、独特の雰囲気を持つ町です。弥生式土器発掘の地としての歴史的意義、そして今もなお残る歴史的建造物や文化施設は、この町の魅力を象徴しています。東京大学本郷キャンパスを訪れる際には、ぜひ弥生の歴史と文化に触れてみてください。

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