張儀

張儀の生涯と業績

張儀（ちょうぎ、紀元前309年没）は、中国戦国時代において傑出した政治家であり、縦横家の代表的存在です。彼は魏に生まれ、後に秦の宰相として名を馳せました。その功績として、彼は秦国の拡大に寄与し、同時に対外関係を巧みに操ることで国を守りました。

初期の苦難と奮闘

張儀の生涯は決して順風満帆ではありませんでした。若い頃、彼は蘇秦とともに鬼谷子の教えを受け、様々な国を訪れて遊説しましたが、当初は応じる者がほとんどいませんでした。ある場面では楚の大臣に従い宴会に出席した際に、窃盗の疑いをかけられた結果、集団での襲撃を受け、まさに袋叩きになりました。傷だらけになりながらも、彼は自らに残された舌があれば人生をやり直せると考え、屈辱をばねに成長を誓いました。

その後、張儀は既に趙で台頭していた蘇秦に接触しましたが、大きな侮辱を受けてしまいます。この経験が彼を奮い立たせ、遂には秦に仕官することとなります。また、仕官にあたって必要な資金を蘇秦が密かに援助していたという過去が知られています。彼はこれを学ぶことで、自らの立場や上昇志向を自覚し、仲間への感謝を忘れませんでした。

宰相としての功績

張儀は間もなく魏を討伐し、上郡と少梁を獲得した結果、宰相に昇進します。しかし、魏が斉と接近する動きが見えたため、彼は魏に仕官し、結果的に秦と魏の同盟を促進する連衡策を成功させました。この策が功を奏し、再び秦の宰相に任命されることになりました。当時、以前彼を袋叩きにした楚の宰相へ文を送る際には、かつての屈辱を思い起こさせる表現を用いたとも言われています。

復讐と外交

張儀は特に楚に対しての行動が目立ちます。恵文王の治世に彼は楚に対し、商・於の地を六百里割譲するから、斉との同盟を破棄してほしいと持ちかけました。楚の懐王はこれに同意し、軍を派遣することになりますが、張儀は実は約束した土地の面積を微妙に誤魔化しました。懐王は激怒し出兵しますが、結果的には大敗に終わります。この戦争を経て、張儀は和睦の道を探り、合従策の崩壊へと導いていきます。

その後の運命

恵文王の死後、張儀は新たな王である太子蕩に冷遇され、恐れを抱いた彼は魏に逃れ、その後宰相となります。しかし、最期は思わぬ形で訪れることとなります。

史記に見る矛盾

言及されるように、『史記』は当時の歴史に誤りが含まれていると指摘されています。1973年に湖南省から発見された文献では、蘇秦の事績に関する新しい解釈や修正が行われています。これにより、蘇秦は張儀より遅れて活動した可能性が示唆されています。

張儀は屈辱を忍び、戦略的な思考と強い意志を持って国の命運を変える人物であり、歴史に名を刻んだ政治家として語り継がれています。その生涯からは多くの教訓を学ぶことができるでしょう。

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