張出

張出（はりだし）

張出とは、大[[相撲]]の表現の一つで、番付の欄外に力士の名前を記載することを指します。この用語は、力士の地位や成績に関連して発展し、特に三役と呼ばれる大関、関脇、小結の位置づけに関わる重要な概念です。

概要

江戸時代以降、大[[相撲]]において番付の上位に位置する三役は、各々東西に一人ずつ配置されるのが伝統でした。しかし、近代に入ると、その他にも優れた成績を残した力士が現れたため、必ずしも東西一名ずつにこだわる必要がなくなりました。しかし、伝統的な番付の表記は変更されなかったため、3人目以降の力士の名前は、混雑した表内に収まりきれず欄外に「張り出して」表示されることになりました。これにより、「張出横綱」や「張出大関」などと呼ばれるようになりました。

一方、通常の枠内に名前を記載された力士は「正横綱」や「正大関」と呼ばれ、同じ地位の中では「正」が上位を、「張出」が下位を示しています。

歴史的背景

「横綱」の表記が番付に初めて登場したのは1890年のことで、これは当時、張出大関に不満を持った初代西ノ海嘉治郎をなだめるためのものでした。この時、横綱という地位が大関よりも上位にあることが確立され、以後は横綱は独自の存在感を持つようになりました。

大正時代においては、興行の際に人気や支援が強い力士を正位に置き、実力者は張出に回されることもしばしばありました。この現象では、連名で記載された力士の名前が大きく書かれることがあり、「別格」の意味を持たせてバランスを取る方法が採られていました。

張出制度の変遷

一人横綱の場合、名前は東方の欄外に張り出されていましたが、その後、公傷制度の導入に伴い、休場した力士も同様に扱われることが定められ、時には前頭の地位までが張り出される事態がありました。戦時中は、兵役で出場できない力士も欄外に記載されていましたが、1942年からはこの慣行は廃止されました。

1994年には、張出制度自体が廃止され、同じ地位の力士が三人以上いる場合でも欄外に張り出すことはなくなり、すべてが枠内で記載されるようになりました。現在では「張出」という表現は使われず、例えば「関脇2枚目」や「大関3枚目」といった具合に表現されていますが、解説者やファンの中には、依然として同様の表現が残っています。

現在の運用

今日では張出という概念は存在しませんが、力士が同じ地位に複数いる場合は、どのように番付が表示されるかについての方法は確定していません。そのため、今後の展開が注目されます。また、大[[相撲]]以外の分野にも、「張出」という表現は使われており、例えば将棋の順位戦においても、前年度の休場者を枠外として扱うことに関連して使用されます。

まとめ

張出という用語は、大[[相撲]]の番付制度の一部として重要な役割を果たしてきました。その歴史を通じて、力士の成績や地位の表示方法に変化をもたらし、現在の大[[相撲]]の文化に影響を与えています。力士やファンにとって、張出は一つの伝統として認識され続けており、今後も注目されるテーマの一つです。

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