張恵紹

張恵紹（ちょう けいしょう）

張恵紹（457年 - 519年）は、南朝斉から梁にかけての軍人です。字は徳継といい、本貫は義陽郡です。

生涯

斉の明帝の時代に直閤（じきこう）となり、後に竟陵郡横桑戍主（きょうりょうぐんおうそうじゅしゅ）に任じられました。母の死をきっかけに帰郷しましたが、蕭衍（しょうえん）が挙兵したことを知ると、そのもとに駆けつけ、中兵参軍（ちゅうへいさんぐん）となり、寧朔将軍（ねいさくしょうぐん）・軍主（ぐんしゅ）の位を加えられました。

蕭衍軍が漢口（かんこう）に到着すると、張恵紹は朱思遠（しゅしえん）とともに水軍を率いて長江に展開し、郢城（えいじょう）と魯城（ろじょう）の糧道を遮断しました。郢城の水軍を率いる沈難当（ちんなんとう）が軽舸（けいか）数十隻で挑発してきましたが、張恵紹はこれを撃破し、沈難当を討ち取りました。蕭衍軍が新林（しんりん）・朱雀（しゅじゃく）に到着すると、張恵紹は戦功を重ね、建康城（けんこうじょう）が平定されると、輔国将軍（ほこくしょうぐん）・前軍（ぜんぐん）の位を受け、直閤・左細仗主（ささいじょうしゅ）となりました。蕭衍が即位すると、張恵紹は石陽県侯（せきようけんこう）に封じられ、直閤・細仗主のまま驍騎将軍（ぎょうきしょうぐん）に転じました。

東昏侯（とうこんこう）の残党数百人が、南北の掖門（えきもん）から侵入し神虎門（しんこもん）を焼き、衛尉（えいい）の張弘策（ちょうこうさく）を殺害するという事件が発生しました。張恵紹は急行して応戦し、数十人を斬首する功績を挙げ、太子右衛率（たいしうえいそつ）に転じました。

天監4年（505年）には、臨川王蕭宏（りんせんおうしょうこう）を都督（ととく）とする北伐が開始され、張恵紹は冠軍長史（かんぐんちょうし）の胡辛生（こしんせい）や寧朔将軍の張豹子（ちょうひょうし）とともに宿預（しゅくよ）を攻撃し、城主の馬成龍（ばせいりゅう）を捕らえて建康に送りました。部将の藍懐恭（らんかいきょう）に水南（すいなん）に城を築かせ、掎角（きかく）の態勢をとらせましたが、北魏の大軍が来襲したため、藍懐恭が敗走し、張恵紹も守りきれず、夜の間に淮陰（わいいん）に退却しました。結果として、北魏軍は宿預を奪回しました。

天監6年（507年）には、北魏軍が鍾離（しょうり）を攻撃すると、左衛将軍（さえいしょうぐん）の曹景宗（そうけいそう）が大軍を率いて邵陽（しょうよう）に進軍しました。張恵紹は馮道根（ふうどうこん）・裴邃（はいすい）らとともに北魏の連橋（れんきょう）を攻撃し、白兵戦の末に北魏軍を破りました。その後、召還されて左驍騎将軍となり、まもなく持節（じせつ）・都督北兗州諸軍事（ととくほくえんしゅうしょぐんじ）・冠軍将軍・北兗州刺史（ほくえんしゅうしし）として出向しました。北魏の宿預城と淮陽城が梁に帰順するにあたり、張恵紹は説得に尽力し、その功績により智武将軍（ちぶしょうぐん）に進みました。入朝して衛尉卿（えいいきょう）となり、左衛将軍に転じ、持節・都督司州諸軍事（ととくししゅうしょぐんじ）・信威将軍（しんいしょうぐん）・司州刺史兼安陸郡太守（ししゅうししけんあんりくぐんたいしゅ）として再び出向しました。司州においては、穏健で筋目正しい統治を行い、官吏や民衆から深く愛されました。

その後、召還されて左衛将軍となり、通直散騎常侍（つうちょくさんきじょうじ）の位を加えられ、宮殿内に宿衛しました。天監18年（519年）に死去、享年63歳。護軍将軍（ごぐんしょうぐん）の位を追贈され、諡（おくりな）は忠（ちゅう）とされました。

子の張澄（ちょうちょう）が後を継ぎ、晋熙郡太守（しんきぐんたいしゅ）・衛尉卿・太子左衛率を歴任しました。

伝記資料

『梁書』巻18 列伝第12
『南史』巻55 列伝第45

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