張文謙

張文謙の生涯と業績

張文謙（ちょう ぶんけん、1216年 - 1283年4月16日）は、モンゴル帝国である大元ウルスに仕官していた漢人の官僚であり、字は仲謙といいます。彼は邢州沙河県に生まれ、若い頃からその才能を示し、後にクビライの側近である劉秉忠との関係を通じて政治の道に進むこととなりました。

初期の経歴

張文謙は、幼い頃から聡明さで知られ、劉秉忠とともに学びながらその素質を高めました。劉がクビライに仕官した際、その推薦を受けて張文謙も彼の下で働くことになります。1247年には、クビライに召し出されると、その応対の才で王府の書記に任じられました。当時、邢州は著名な武功者であるバダイとキシリク一族の統治下にありましたが、名ばかりの行政官による統治が問題視されていました。そこで、張文謙はクビライに対して新たな行政官を派遣し、模範的な統治を行うことを提言し、実際に公正な統治を実現させました。この成果により、邢州の戸籍数は劇的に増加しました。

クビライの側近としての活躍

1251年には、クビライの兄のモンケが即位し、クビライは東アジアの司令官としての地位を与えられました。彼は雲南・大理遠征に参加し、現地の高祥が暴力的な手段でモンゴルの要求を拒否した際には、彼の行動を諌める役割を果たしました。さらには1259年から始まった南宋への侵攻においても、無用に民を虐待しないようクビライに進言し、これが受け入れられました。

中統元年（1260年）、クビライが皇帝を称する際、張文謙は中書省において左丞の役職に任じられました。彼は国家の綱紀を正し、安定に寄与すべく奮闘しましたが、王文統との対立から中央政府を離れ、大名等路宣撫司事に転任されました。その後、大名において災害に苦しむ民に対して国税や酒税の軽減を求め、国民の生活を守るために努力しました。

政治的な試練と再帰

中統2年（1261年）から、張文謙は政府に留まり庶務を担当しましたが、次第に財務を担当するアフマド・ファナーカティーとの対立が鮮明になりました。至元元年（1264年）には陝西方面に赴き、捕虜にされた士人を絡めた事務体制の整備に成功しました。

至元3年（1266年）には、私奴隷に関する問題に対して意見を提出し、その後も様々な行政問題に関わり続けました。彼は政務において敏腕を発揮し、1270年には大司農卿として積極的に改革に取り組み、国子学の設立にも貢献しました。

晩年と多くの功績

晩年には「儒林派」との親交を深め、学問に励むことにより多くの蔵書を所持していたことが伝えられています。彼の息子である張晏もまた大元ウルスに仕官し、御史中丞の地位に至ったことからも、張文謙の影響力が次世代に引き継がれたことが分かります。彼は1282年に68歳で他界しましたが、その業績は後世に多大な影響を与え続けています。

もう一度検索