張果

張果（ちょう か）: 八仙の一人

張果は、古代中国の伝説的な仙人たちの中で八仙の一人として知られています。彼は「張果老」という敬称で呼ばれ、特に唐の玄宗時代において宮廷に招かれるなど、様々な伝承が語り継がれています。彼は天宝年間に死後、肉体から解脱したとされています。このような「尸解」の伝説は多くの人々の心を魅了し、正史にも名を刻むほどの影響力を持つ人物です。

張果の伝承と奇跡

張果は恒州の条山に隠遁していたとされ、近隣の住民には数百歳と名乗っていました。彼は白い驢馬に乗り、数千里を一日で旅することができたと伝えられています。驚くべきことに、彼が驢馬を休ませる時には、それを紙のように折り畳んで箱にしまい、必要な時には水をかけるとまた驢馬に戻るという不思議な技を持っていたとされています。

ある時、彼は則天武后によって宮廷に招かれましたが、その後、死を迎えました。ところが、後に彼が生き返るという出来事が報告されています。開元22年（734年）には、玄宗が張果を再び迎え入れようとした際、彼はまたもや死んでしまいました。しかし、彼の死体に向けて玄宗の意を伝えた通事舎人・裴晤の言葉によって、張果は息を吹き返しました。

玄宗は、張果が老齢にあるかどうかを問いましたが、彼は白い髪を引き抜き、歯を叩き割ると、すぐに黒髪と白い歯が生えてきたといいます。その後、彼は玄宗の妹である玉真公主との結婚を予言し、さらには酒樽を童子に変身させるといった様々な法術を披露しました。また、食事は酒と丸薬しか取らず、法術についての問いにはいつもでたらめな答えを返していたと伝わっています。

張果の正体と神秘性

玄宗は張果の真偽を確かめるため、高力士に相談しました。そこで彼は、張果に毒酒を飲ませることにしました。張果は「うまい酒ではない」と言いながら、毒で焦げた歯を叩き落とし、膏薬を歯茎に貼って眠りにつきました。目覚めたときには、歯は元通り生え揃っていたとのことです。そのため、玄宗は彼を真正の仙人として認め、銀青光禄大夫と通玄先生という称号を贈りました。

また、玄宗は道士の葉法善に張果の正体を問い、その答えを聞いた際の衝撃的な出来事も伝わっています。葉法善は、真実を語ると即座に命を奪われることを懸念し、張果に対して命乞いをするよう求めました。彼は張果が「渾沌が生まれた時に現れた白蝙蝠の精」であると明かしたとき、すぐに死んでしまいます。その後、玄宗は張果に冠を脱ぎ、命乞いするという一幕があり、張果が葉法善の顔に水を吹きかけることで彼は復活したとされています。

張果は恒州に戻ることを希望しており、許可を得ることができました。しかし、天宝元年（742年）に再度宛名を贈られた際、彼は急死したといいます。葬儀の後、棺桶を開けると彼の死体は消えており、これが彼が仙人となった証とされました。この出来事が、玄宗の神仙に対する信仰を深めるきっかけとなったと言われています。

彼に関する著作としては、『丹砂訣』や『陰符経太無伝』、『陰符経弁命論』などが伝えられています。さらに、彼は隋唐演義や東遊記などの文学作品にも登場し、道士・羅公遠との術比べにおいては、その実力が劣っていたという伝説もあります。張果の物語は、今なお多くの人々に語り継がれています。

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