張発奎

張発奎の生涯と業績

張発奎（ちょう はつけい）は、20世紀初頭の中国における重要な軍事指導者であり、中華民国の陸軍二級上将として知られています。彼は国民政府に仕え、粤軍（広東軍）を指揮し、特に日中戦争や国共内戦の際にその名を歴史に刻むことになりました。

幼少期と粤軍での成長

張発奎は農家に生まれ、初めは学問を志しましたが、やがて染織技術を学ぶことに転向しました。しかし、辛亥革命の際に情勢が変わり、彼は広東の新軍に参加しました。ここでの経験が彼の軍歴に大きく影響を与えることになります。

彼は1923年に粤軍第1師の独立団団長に抜擢され、次第に昇進します。特に1925年には国民革命軍第4軍の独立旅の旅長に任命され、冬には第12師の師長に昇進しました。彼は、陳炯明討伐に参加し、1926年の北伐にも参戦。湖北省で直隷派と戦い、「鉄軍」と称される名誉を獲得しました。

その後、河南省に進軍し、数々の戦闘において華々しい戦果を挙げました。彼の指揮の下、第4軍は卓越した戦闘能力を発揮し続け、河南省を占領。その後の武漢への帰還は、彼の名声をさらに高めました。

反蔣活動の起伏

武漢に戻った張は第2方面軍の指揮を任され、汪兆銘を支持して蔣介石に対抗する動きを起こしました。しかし、汪が中国共産党との決別を決定した後、張は内部の共産党員の蜂起に直面します。この結果、彼は南昌を経て広東に戻り、李済深との権力闘争に突入します。

1930年には蔣介石に反旗を翻し、国民政府内での影響力を維持しようと試みますが、最終的には敗退。しばらくドイツ視察に赴き、その後再び蔣の下に戻りました。

日中戦争と国共内戦

1937年、日中戦争が勃発し、張発奎は上海での防衛に当たりましたが、日本軍に敗退します。その後も彼は武漢会戦に参加し、広東と広西での戦闘に従事しました。1945年には再び第2方面軍艦司令官に昇進し、戦争終結後には広州で日本軍の降伏を受け入れました。

国共内戦の時期、張発奎は広東派と呼ばれる勢力を形成し、反共・反蔣介石の拠点を築こうとしました。1949年には、李宗仁との連携を試みましたが、大きな失敗に見舞われます。その結果、蔣介石の復権とともに香港へと逃亡しました。

最晩年と死

張発奎は1980年に香港で亡くなりました。享年85歳という生涯の中で、彼は中国近代史において多くの影響を残しました。彼の業績は、国民政府時代の動乱と変革の象徴として、今なお語り継がれています。

参考文献

徐好文ほか「張発奎」『民国高級将領列伝 5』解放軍出版社、1999年。

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