張緬

張緬の生涯と業績

張緬（ちょう べん）は、490年から531年にかけて南朝梁で活躍した官僚であり歴史家です。彼の字は元長で、范陽郡方城県を本貫とし、官僚の家系に生まれ育ちました。彼の父は張弘策で、母は劉氏です。幼少期から才能を見込まれており、母方の祖父に「この子は大器であり、張家の宝である」と評されたほどでした。

張緬は永元2年（500年）に、父の張弘策が起兵する際には襄陽に残りましたが、戦の行方に心を痛めていました。天監元年（502年）には父を失ったため、悲しみに暮れ、喪に服したが、その状態は礼の規定を超えて衰弱しました。喪が明けると、彼は洮陽県侯の爵位を譲り受け、国子生として召し出されました。

彼の職歴は、秘書郎から始まり、淮南郡太守へと進みました。在任中、武帝から年若い彼の事務処理能力に疑念を持たれましたが、主書を送り文案を調査した結果、張緬の判断が適切であったため、武帝は彼に対して賞賛を送りました。このことを受けて、彼は建康に召還され、太子舎人や雲麾外兵参軍に任じられました。

学問に励む若者であった張緬は、日課として読書を重ね、多くの古典を熟知していました。特に後漢や晋代に関する知識が豊富であり、このような知識は後の彼の業績にも大いに影響を与えました。武帝が殿中郎に新たに人材を求めた際、徐勉から推挙を受け、次に武陵郡太守として出向する運びとなりました。戻った後は、太子洗馬、さらに中舎人の要職を歴任しました。

彼は清貧な生活を送り、郡出向中には俸禄に手をつけず、妻子の衣装も贅沢にせず、家族のために使うばかりではなく、母に俸禄を渡して親族の福に使わせるなど、忠義を尽くしました。その後、北中郎諮議参軍や寧遠長史を経て、豫章郡内史として知られる善政に励みました。地域の人々から多くの支持を受け、故老たちからもその治政を称賛されました。

大通元年（527年）には建康に招かれ、司徒左長史に任命されましたが、病のためその地位を受けることができませんでした。その後、太子中庶子として羽林監を務め、その後御史中丞に転じました。最初は外国の使者との争いに連座し黄門郎に降格されましたが、再び御史中丞として認められました。張緬は権力者に対して怯まずに職務を全うし、「勁直」と称されるようになりました。

中大通3年（531年）、侍中に昇進しましたが、その任命を受ける前に生涯を終えました。享年42歳でした。彼は貞威将軍の位を追贈されています。

張緬は非常に多くの古典籍を集めており、その数は1万巻以上にも及ぶと言われています。後漢や晋代についての歴史書の異同を整理し、彼自身の著作として『後漢紀』40巻や『晋抄』30巻を編纂しました。また『江左集』の編纂を試みましたが、未完に終わっています。さらには文集を5巻残しており、彼の残した業績は高く評価されています。彼の子、張傅がその後を継ぐこととなりました。

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