張良

張良（ちょう りょう）

張良は紀元前186年に亡くなった、秦末期から前漢初期にかけて活躍した著名な軍略家です。字は子房，諡は文成となり、劉邦に仕えて数々の軍事作戦を立案しました。彼はその卓越した戦略眼から、蕭何や韓信とともに「漢の三傑」と呼ばれています。劉邦から江蘇省徐州市の留に領地を与えられたため、留侯とも称されました。張良の子には、張不疑および張辟彊がいます。

生涯

始皇帝暗殺未遂

張良は韓の名族に生まれ、祖父や父はそれぞれ韓の相国を務めました。しかし、秦の内史騰による韓の滅亡が彼の人生を大きく変える出来事でした。この屈辱に対し、彼は秦への復讐を誓い、全財産を投げ打って報復の仲間を募りました。若い頃の張良は河南の淮陽で礼学を学び、倉海君に出会って屈強な力士を借り受けました。

彼は紀元前218年、始皇帝の暗殺を試みましたが、失敗に終わり、逃亡生活に入ります。この逃亡中、項伯という人物と密接に関わります。彼はかつて殺人を犯し逃亡中だった項伯を匿い、友情を深めました。

黄石公との出会い

張良は下邳での逃亡中、汚い服を着た老人と出会います。この老人は黄石公と称され、彼に兵法書を授け、未来に大成することを示唆しました。この出来事は張良の運命を大きく変えるきっかけとなりました。彼は這うようにして黄石公から受け取った書を繰り返し学び、その知識をもとに劉邦を支える決意を固めます。

劉邦との出会い

張良が劉邦と出会ったのは秦二世元年のことです。彼は人々を集めて農民反乱に参加しようとしましたが、反乱のリーダーが死去したため、劉邦の軍と合流することになります。劉邦は張良を厩将に取り立て、その兵法を取り入れることで次第に実戦の中で彼を信頼するようになりました。

張良は劉邦の行動を支え続け、その策略が劉邦の軍勢を勝利に導く鍵となります。特に、彼は効率的な遊撃戦を提案し、重要な合戦での勝利に寄与しました。

鴻門の会

漢元年に劉邦が秦王子の降伏を受けて咸陽に入城した際、彼は喜びに浸ろうとしますが、張良はその行動を諌め、劉邦の冷静な判断を促します。この機知により、彼は数々の危機を回避し、劉邦の後ろ盾となりました。

楚漢戦争

項羽との戦いでは、張良はしばしば劉邦に助言を与え、その知恵が重要な戦局を左右しました。彼は韓信や彭越の巧みな封ぜを提案し、これにより劉邦は強力な同盟を持つことができました。張良はまた、劉邦が項羽を追撃する際にも策を献じ、その戦略的な思考で数多くの勝利を収める手助けをしました。

天下統一後

劉邦が皇帝に即位した後、張良は留侯としての地位を賜り、その貢献は多大であったと認識されました。張良は地位に驕らず、淡々とした生き方を貫きました。

晩年

晩年、張良は病を抱え、道教の導引術を実践する一方で、劉邦の後継問題にも関与しました。劉邦の死後も、彼の智謀は多くの人々に評価され続けました。

紀元前186年に亡くなるまで、張良は数々の歴史の重要な場面に立ち会い、その後の時代に大きな影響を与えました。彼の墓は徐州に位置するが、正確な場所は伝承により不明です。また、彼の後裔は後の時代にもその名を残し、様々な伝説を生んでいます。張良の生涯は、彼が迎えた数多の困難とそれを乗り越えた智慧の象徴とされています。

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