張鳳

張鳳（ちょう ほう）

張鳳は、明代中期に活躍した官僚であり、その清廉さと卓越した行政手腕で知られています。彼は、1396年9月4日に真定府晋州安平県で生まれ、1461年3月18日に66歳でこの世を去りました。字は子儀といい、礼科給事中の張益を父に持ちます。

生い立ちと初期のキャリア

張鳳の父、張益は永楽帝の第一次漠北遠征に従軍し、戦没しました。若くして父を失った張鳳は、邑庠生に選ばれ、郷里の推薦で太学に入学。その才能は早くから認められており、吏部尚書の蹇義からは「生きてこの職に就くべからざるなり」と評されたと伝えられています。1427年、進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

官僚としての活躍

1433年、張鳳は刑部江西司主事に抜擢されます。この時、彼は反乱を起こした江西の豪民1000人以上を収監し、未決囚の再調査によって数百人の死罪を取り消すという功績を上げました。彼の公正な判断力と民衆への配慮が伺えるエピソードです。

1438年、刑部の高級官僚たちが一斉に摘発されるという事件が起こり、張鳳は刑部右侍郎に抜擢されます。これは主事から侍郎への異例の大抜擢であり、彼の才能がいかに高く評価されていたかを物語っています。その後、1439年には提督京倉を命じられ、1441年には南京戸部右侍郎に転任しました。南京戸部尚書が長らく不在だったため、張鳳は南京戸部の事務を管掌することとなります。

南京での功績

南京では、貴州の軍衛の食糧不足に対応するため、龍江倉と両淮の塩を米と交換して運ぶよう求める上奏を行いました。張鳳は、龍江の塩には泥砂が混じっているため、両淮の塩だけを米と交換して貴州に送るという現実的な解決策を提示しました。また、南京に年間200万石の備蓄を目標とする上奏を行い、英宗に聞き入れられています。1447年には、南京の食糧備蓄の管理を兼任し、その清廉さと法律の厳格な執行から「板張」と称されました。

北京での活躍

1451年、張鳳は南京戸部尚書に進み、1453年には南京兵部尚書に転じて軍務に携わりました。1454年、戸部尚書の金濂が亡くなると、張鳳は北京に召還され戸部尚書に任命されます。当時、四方での軍事行動は収まっていましたが、災害が頻発しており、景泰帝は度々救済策を命じました。張鳳は廷臣と共に十事の意見を上奏し、その後も八事の意見を上奏し、いずれも裁可されました。

彼は、災害による税の免除で国費が減少している状況を憂い、農地の減少と税の取りこぼしを指摘しました。そして、徴税の基準を緩めることで、争いを無くし、国の財政を助けるべきだと訴えました。この主張は景泰帝に認められましたが、給事中の成章らからは、祖制を変更していると批判されました。

その後と死

1457年、英宗が復辟すると、張鳳は再び南京戸部尚書となり、食糧備蓄の監督を兼任しました。そして、1461年3月18日、66歳でその生涯を閉じました。彼には、張愷、張悌、張忭という三人の息子がいました。

張鳳の人となり

張鳳は、その生涯を通じて清廉潔白で、法を遵守する官僚でした。彼は、常に民衆の生活を第一に考え、飢饉対策や税制改革に尽力しました。その実績から「板張」と称されたことからも、彼の真摯な人となりが伺えます。彼の存在は、明代の社会において、安定と発展に大きく貢献しました。

参考文献

• - 『明史』巻157 列伝第45
• - 資徳大夫正治上卿南京戸部尚書張公神道碑銘（李賢『古穣集』巻13所収）

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