金濂

金濂（きん れん）

金濂（1392年 - 1454年）は、明代の官僚・政治家で、字を宗瀚といい、西安府商州山陽県を本貫とします。永楽16年（1418年）に進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

初期の官僚生活

金濂は監察御史としてその才能を発揮し、宣徳帝の時代には広東巡按として清廉で有能な働きぶりで知られました。その後も江西巡按や浙江巡按を歴任しますが、反乱者の捕縛に失敗したことで一時的に免官されました。しかし、反乱者が捕らえられるとすぐに官職に復帰し、その手腕は高く評価されました。

金濂は地方官吏の腐敗を憂い、按察司や巡按御史のような有能な官吏を労うべきだと進言し、宣徳帝に認められました。1432年（宣徳7年）には陝西按察副使に転じ、地方行政に尽力しました。

国防と地方行政への貢献

1436年（正統元年）には、衛所の欠員補充、寧夏の守備兵増強、漢中鎮守都指揮使の設置を求める上書を行い、その多くが採用されました。1438年（正統3年）には右僉都御史に抜擢され、寧夏の軍務を担当します。当時、寧夏には五渠がありましたが、鳴沙洲・七星漢・伯石灰の三渠が泥で塞がれていました。金濂はこれらの運河を浚渫し、荒廃していた1300頃の農地の灌漑を復旧させました。

1441年（正統6年）に都察院に召還されましたが、翌年には再び寧夏に派遣され、参賛寧夏軍務として右副都御史に昇進しました。

刑部尚書としての活動

1443年（正統8年）には刑部尚書に任じられ、英宗の経学の講義にも参加しました。1446年（正統11年）には、安郷伯張安の兄弟間の禄を巡る争いに関与し、刑部と都察院、戸部が責任を押し付け合ったため、金濂を含む複数の官僚が弾劾され、一時的に投獄されましたが、数日後には釈放されました。

反乱鎮圧と軍務

1448年（正統13年）に福建で鄧茂七らの反乱が発生すると、金濂は参賛軍務として鎮圧作戦に参加しました。1449年（正統14年）には、反乱軍を破り、鄧茂七を討ち取ることに貢献しました。反乱軍の残党が鄧伯孫を擁立して抵抗を続けると、金濂は策を講じて鄧伯孫を捕らえ、反乱の鎮圧に成功しました。その後、金濂は福建に残り、残党の討伐を指揮しました。

土木の変で英宗がオイラトに連行されると、金濂は北京に召還されましたが、御史や給事中からの弾劾にも関わらず、景泰帝によって不問とされ、太子賓客の位と二官分の俸給を与えられました。その後、戸部尚書に転じ、太子太保の位も加えられました。

晩年と死

軍事行動が活発化し、食糧需要が急増する中、金濂は節約策を提示しました。また、オイラトとの関係修復を訴えましたが、景泰帝はこれを受け入れませんでした。1451年（景泰2年）には租税免除の詔が出た際、官吏に米麦の負担を軽減させる一方で、銀や布帛の徴収は従来通り行わせるなど、財政の安定化に努めました。1452年（景泰3年）に弾劾を受けて一時的に投獄されましたが、すぐに釈放され、太子太保の位を剥奪され、工部に転じました。しかし、後に戸部尚書に復帰し、太子太保の位も再び与えられました。

金濂は引退を申し出ましたが慰留され、1454年（景泰5年）2月に在官のまま死去しました。享年63歳。その軍功により沭陽伯に追封され、諡を栄襄とされました。

著書

金濂は『諸史会編』112巻を著しました。

まとめ

金濂は、明代において地方官から中央の要職までを歴任し、行政、軍事、財政の各分野で優れた能力を発揮した人物でした。その清廉な姿勢と、国家への貢献は後世に語り継がれています。

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