当代記

当代記について

『当代記』（とうだいき）は、寛永年間（1624年〜1644年）に成立したと考えられている歴史的な書物です。この史書は、江戸時代初期の状況を理解するうえで非常に重要な資料とされています。編纂者として松平忠明の名前が挙げられていますが、確実性には欠けており、実際の著者については不明な点が多いのが現状です。全九巻九冊から成り立ち、太田牛一の『信長公記』を中心にして他の資料を再構成した二次史料です。また、本書は『史籍雑纂』第2に収められており、古典的な歴史文献の一つと見なされています。

編纂者とその背景

松平忠明（1583年-1644年）は、奥平信昌の子であり、母親は徳川家康の娘である亀姫です。そのため、彼は家康の外孫にあたります。忠明は、大坂藩や姫路藩の藩主を務めた後、江戸幕府の大政参与としても活動しました。忠明の執筆時期には、特有の言語的特徴が見受けられますが、忠明が単独で執筆したかどうかは議論の余地があります。一部の研究者は、複数の編者が関与したのではないかと指摘しています。

内容と史料価値

『当代記』は、主に徳川家康の業績に焦点を当てながら、天文年間の三好氏の出来事から織田信長の上洛、そして江戸時代初期の慶長20年（1615年）までの歴史的事象を記述しています。このことから、戦国時代から江戸時代初期の政治、社会、文化、災害、及び世相についての貴重な情報源とされています。特に、信長の時代に関しては、他の文献にはない独自の考証が行われている部分があり、研究者にとっての重要な材料となっています。ただし、一部には信憑性に疑問が呈されている点もあり、例えば小瀬甫庵が一般向けに脚色した『信長記』の影響が見られる部分もあって、全体として真偽の評価が求められる状況です。

書籍情報と参照先

松平忠明による『当代記』は、[国立国会図書館]]デジタルコレクションにおいても取り扱われており、国書刊行会から出版された『史籍雑纂. 第二』に含まれています。書籍の詳細な情報は以下のリンクから確認することが可能です： [国立国会図書館デジタルコレクション。

参照文献として、橋場日月の著書『本能寺の変を紐解く二四の史料を徹底検証』やコトバンクの記事なども重要な情報源とされています。これらの資料を通じて、『当代記』に込められた歴史的な意義や、その詳細な内容を深く理解することが可能です。

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