当帰湯

当帰湯（とうきとう）

当帰湯は、中国の古典医学書『千金方』に記載されている漢方薬です。主に、冷え性で体力が中等度以下、比較的虚弱な体質の方で、上腹部から胸部にかけて痛みを感じる場合に用いられます。

効果・効能

当帰湯は、以下の症状の緩和に効果が期待できます。

背中の冷え
腹部膨満感
腹痛

これらの症状は、冷えによって血行が悪くなり、内臓の機能が低下することで起こることがあります。当帰湯は、体を温め、血行を促進することで、これらの症状を改善します。

適応症

当帰湯は、以下の疾患や症状に適用されることがあります。

肋間神経痛
心臓神経症
過敏性大腸症候群 (IBS)
慢性膵炎
狭心症

これらの疾患や症状は、神経の炎症や機能異常、消化器系の不調、心臓の血管の狭窄などが原因で起こることがあります。当帰湯は、これらの原因に働きかけ、症状を緩和すると考えられています。

組成

当帰湯は、以下の10種類の生薬から構成されています。

当帰（とうき）: 5.0g
半夏（はんげ）: 5.0g
芍薬（しゃくやく）: 3.0g
厚朴（こうぼく）: 3.0g
桂枝（けいひ）: 3.0g
人参（にんじん）: 3.0g
乾姜（かんきょう）: 1.5g
黄耆（おうぎ）: 1.5g
山椒（さんしょう）: 1.5g
甘草（かんぞう）: 1.0g

これらの生薬は、それぞれ異なる薬効を持ち、組み合わされることで、当帰湯としての効果を発揮します。

慎重投与

以下の患者には、慎重に投与する必要があります。

著しく胃腸の虚弱な患者
食欲不振、悪心、嘔吐のある患者

これらの患者は、当帰湯の副作用が出やすい可能性があるため、注意が必要です。

相互作用

以下の薬剤との併用には注意が必要です。

甘草含有製剤
グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤

これらの薬剤と当帰湯を併用すると、偽アルドステロン症やミオパシーなどの副作用が出やすくなる可能性があります。

副作用

当帰湯の主な副作用としては、以下のものがあります。

偽アルドステロン症
ミオパシー
発疹
発赤
掻痒（かゆみ）
蕁麻疹
食欲不振
胃部不快感
悪心
下痢

これらの症状が現れた場合は、医師または薬剤師に相談してください。

注意事項

高齢者は、生理機能が低下しているため、注意が必要です。
妊産婦、小児は、安全性に関するデータが不足しているため、注意が必要です。

当帰湯を使用する際は、医師または薬剤師の指示に従い、用法・用量を守って服用してください。また、服用中に気になる症状が現れた場合は、速やかに医師または薬剤師に相談してください。

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