彭勖

彭勗（ほう きょく）

彭勗（1390年 - 1470年）は、明代に活躍した官僚であり、儒学者としても知られています。字を祖期、号を眷庵と称し、吉安府永豊県を本貫としました。

生涯

彭勗は、彭叔敏と黄氏の間に生まれました。幼少期から聡明で、7歳の時に仏寺に入った際、仏像に礼拝することを拒否し、「仏は衣冠をせず、裸足である。どうして礼拝する必要があるのか」と僧を叱りつけたという逸話が残っています。

1415年（永楽13年）、進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。高齢の親を養うため、郷里に近い任地を希望し、南雄府教授に任命されました。赴任先の学校には祠があり、怪現象が頻発していたため、学官や弟子たちが祭祀を行っていました。しかし、彭勗は祠を撤去し、焼き払ってしまいました。その後、建寧府教授に転任しました。

建寧府では、副使の王増が病にかかり、医者の許宗道が、游亨という学生が童五郎祠を建てて呪詛を行っていると誣告しました。王増は激怒し、游亨の一族7人を重罪に処し、祠の近隣住民400家を投獄しました。この時、彭勗は游氏が巫者ではないこと、五郎が邪神ではなく、五郎に土地を喜捨したのは城を築いた人物であると郡志に記述されていることを指摘し、王増の誤りを正しました。王増は図経で事実を確認すると、自らの過ちを恥じ、事件は解決しました。

また、彭勗は建寧府崇安県にある朱熹の旧宅に祠がありながら祭祀が行われていないことを知り、上奏して春秋に祭祀を行い、子孫の徭役を免除するよう請願しました。さらに、尊賢堂を創建し、胡安国、蔡沈、真徳秀を祀りました。

1436年（正統元年）、彭勗は楊士奇の推薦により中央に召し出され、御史に任命されました。提学官が設置されると、南畿学校の提督を命じられ、詳細な教育方針を定め、学校の雰囲気を大いに改善しました。彭勗は、南朝梁の武帝が始めた修斎や、宋の徽宗が始めた設醮を廃止するよう上奏しました。また、庵院の建立を禁止し、僧侶や尼僧への度牒の発給を停止するよう求めました。さらに、真定、保定、山東の民1万人余りが鳳陽府潁州に逃亡しているのは、守令が災害を隠蔽し、横暴な収奪を行っているためであると指摘し、民衆への手厚い救済と守令の成績評価を戸口の増減で判断するよう進言しました。そして、南京諸衛武学の設置も請願し、いずれも英宗に受け入れられました。

母の死去に伴い、彭勗は辞職して郷里に帰り、喪に服しました。1445年（正統10年）に官界に復帰し、吏部考功郎中となりました。後に、山東按察副使として赴任しました。1449年（正統14年）に土木の変が起こると、軍事に関して頻繁に進言を行いました。1453年（景泰4年）、自分の意見が採用されないことを不満に思い、官を辞して故郷に戻りました。1470年（成化6年）、81歳で生涯を終えました。

著書

彭勗は著述家としても才能を発揮し、『書伝通釈』6巻、『山東郡邑勝覧』9巻などの著作を残しました。

人物

彭勗は、幼少期から強い信念を持ち、官僚としても民衆の立場に立った政治を行いました。教育制度の改革や不正を正すことに尽力し、その功績は高く評価されています。また、学識豊かで、自らの意見を臆することなく進言する人物でした。

参考文献

『明史』巻161 列伝第49
進階亜中大夫山東按察司副使致仕眷庵先生彭公寿蔵銘（倪謙『倪文僖集』巻29所収）

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