律蔵

律蔵（Vinayapiṭaka）について

律蔵とは、仏教の聖典の一部で、特に僧伽内の規則や戒律を集約した文献です。上座部仏教、つまり南伝仏教の典籍で、その中でも『パーリ仏典』として広く知られています。この律蔵は、一般に『パーリ律』と呼ばれています。

律蔵の主な構成

律蔵は主に二つの部分から成り立っています。まず一つ目は、具足戒（波羅提木叉）に関する経分別であり、これは僧侶が守るべき基本的な戒律を定めています。二つ目は犍度（僧伽運営規則）であり、これは僧団の組織や運営についての規則です。このように、律蔵は実践的な指導を通じて、僧侶たちが日々の生活の中で遵守すべき規範を提示しています。

中国仏教における律の役割

中国仏教、つまり北伝仏教においても、律に関する文献が存在します。特に、部派仏教の律には以下のような五つの主要な種別があります:
1. 四分律（法蔵部）
2. 五分律（化地部）
3. 摩訶僧祇律（摩訶僧祇部）
4. 十誦律（説一切有部）
5. 根本説一切有部律（根本説一切有部）

この中でも、特に『四分律』は中国仏教の中で広く受け入れられ、鑑真によって日本へも伝えられました。しかし、中国仏教はその後大乗仏教として変化し、戒律に関連する文献は大乗経典に押される形で、重要性が薄れてしまった歴史があります。日本でも平安時代以降、天台宗や禅宗の伝来に伴い、律宗の伝統が次第に衰退していきました。

チベット仏教における律の位置づけ

チベット仏教では、根本説一切有部が持つ『根本説一切有部律』が受け入れられています。チベットでは仏教が中国よりも遅れて輸入されたため、その過程で既に密教化していましたが、アティーシャの時代には戒律の復興が見られ、律の重要性が再認識されました。チベット大蔵経は、顕教と密教をしっかりと分類しており、律蔵と経蔵、論蔵の組み合わせがしっかりと維持されています。

判断と影響

律蔵は、仏教徒がいかにして共同体を形成し、倫理的な生活を送るかに直結する重要な文献です。その教えは、僧侶としての生活を豊かにし、他者との関係性をより良く築くための土台となっています。様々な仏教の伝統の中で、その解釈や実践は異なるものの、律蔵の基盤は仏教徒にとって欠かせないものとされています。

参考文献

• - 仏典
• - 三蔵
• - 具足戒・波羅提木叉
• - 律蔵（パーリ）
• - 律部（大正蔵）

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