徐椿

徐椿の生涯とその変遷

徐椿（ソ・チュン、日本名：大川慈種）は1894年11月24日、平安北道定州で誕生し、日本の統治下で活動した言論人として知られています。彼の人生は独立運動家としての初期段階から、親日派としての後期まで、大きく二つの相反する側面を持っています。

学び舎と独立運動への参加

徐椿は五山学校を卒業し、その後日本に留学し、東京高等師範学校や京都帝国大学で学びました。彼が独立運動に参加した契機は、1919年に東京で行われた二・八独立宣言にあります。この宣言は三・一運動の前触れとして非常に重要な事件であり、徐椿は実行委員の一人として署名し、逮捕されて禁錮9か月を宣告されました。彼はこの出来事により、独立運動家としての地位を築くことになります。

この頃、彼の先輩であった金道泰や金智煥といった人物との関係も徐椿の活動に影響を与えました。彼は1918年に留学生たちの活動を李昇薫に伝え、三・一運動の企画に関与しました。しかし、出獄後、彼は徐々にその立場を変えることになります。

変節と親日活動

徐椿は1927年には『東亜日報』、1932年には『朝鮮日報』の経済部記者として活動し、経済専門家としての名も馳せました。しかし、日中戦争の影響を受けて過去の信念を裏切り、日本政府の戦時経済政策を称賛する御用評論を執筆しました。さらに、『毎日新報』の主筆としても知られ、親日活動を積極的に行いました。

彼は放送宣伝協議会の講師として講演を行い、国民総力朝鮮連盟や朝鮮臨戦報国団評議員などの役職も担いながら、親日派としての足跡を刻みました。1940年には日本語で発行される親日雑誌『太陽』を創刊し、その立場を強化していきました。彼の活動は日本の侵略戦争を美化し、戦争賛美に加担したものでした。

死後の評価と論争

1944年4月5日に肝癌で亡くなった徐椿は、1919年の二・八独立宣言参加者としての功績が評価され、1963年には大統領から表彰を受け、愛国志士叙勲を受賞しました。しかし、その後の彼の親日行為が明るみに出ると、彼の評価は大いに揺らぎました。

独立運動有功者賞勲審議会は彼の過去の親日行為を無視し、徐椿を独立有功者として認めましたが、これは親日派が互いを賞賛することを目的としたものだと疑われています。1996年には彼の叙勲が取り消され、徐椿の遺体は国立大田顕忠院に埋葬されましたが、後に議論の末に移転されることとなりました。また、2002年に発表された親日派708人名簿や、2008年の民族問題研究所の親日人名辞典にも彼の名前が記載されています。

徐椿の人生は、自由を求める気持ちから始まり、厳しい歴史の影響を受けつつ変貌した一人の人物の姿を反映しています。彼の生涯は、独立運動と親日活動という対立する立場が形成され、その後の評価に大きな影響を及ぼしました。

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