御国旗

御国旗（みくにはた）とは：明治初期の日本の国旗

御国旗（みくにはた）は、1870年（明治3年）に制定された日本の国旗です。太政官布告によって商船用、陸軍用、海軍用の3種類が定められ、それぞれ用途やデザインが異なっていました。法律に基づくものではなく、太政官布告によって定められた点が特徴です。

商船御国旗

1870年2月27日、「郵船商船規則」によって商船用の国籍旗として制定されました。旗は「日本商船記」と共に掲揚され、御国旗が国籍を、商船記号が所属を示しました。1875年に商船記号が廃止されると、御国旗が単独で掲揚されるようになり、慣例的に国旗として扱われるようになりました。

規格は、祝日に掲げる大旗、通常使用の中旗、荒天時に使用する小旗の3種類があり、縦横比はすべて7:10でした。日章は縦の5分の3の大きさで、旗竿側にわずかに偏って配置されていました。

商船規則は1999年に廃止され、国旗は「日章旗」として法制化されましたが、御国旗の規格は経過措置として維持されました。

国旗としての使用

御国旗は商船が国籍を示すために掲げる旗であり、商船記号と合わせて使用することで、国籍と所属を明確にしていました。1872年には、祝祭日に国民が日の丸の国旗を掲げることが定められ、開港場の県庁でも常時国旗を掲揚することとなりました。この際の国旗の制式は商船規則の御国旗に準拠しており、商船だけでなく陸上でも掲揚されるようになりました。

沖縄がアメリカ合衆国の統治下にあった時代には、琉球船舶旗として御国旗のデザインを基にした旗が採用されました。

陸軍御国旗

1870年6月13日、陸軍用の国旗として陸軍御国旗が定められました。縦4尺4寸、横5尺で、日章は朱色、直径は横の3分の1とされました。陸軍御国旗は、法令で定められた初の旭日旗であり、後の軍艦旗や連隊旗の原型となりました。制定前には、明治天皇の閲兵で聯隊旗として16条旭日旗が使用されていました。

1874年には歩兵連隊軍旗および騎兵砲兵連隊軍旗に置き換えられましたが、その意匠は継承されました。

海軍御国旗

1870年10月27日、海軍用の御国旗が制定されました。縦7尺、横1丈1尺7寸（2:3）の白布に、直径が縦の5分の3の紅い日章を配し、旗竿と反対側に横の20分の1の余白を加えていました。同時に、艦首に掲揚する艦首旗章も制定されました。

海軍の御国旗は、日本の軍艦旗の原点とされ、1889年に定められた軍艦旗にその役割が引き継がれました。

御国旗は、日本の近代化の過程において、国旗としての役割を果たし、現在の日章旗へと繋がる重要な旗でした。

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