御堂流

御堂流（みどうりゅう）とは

御堂流は、平安時代における藤原北家九条流の中から生まれた有職故実や作法を基盤とする流派であり、特に藤原道長を祖としています。「御堂」という名称は、藤原道長が法成寺を創建した際に「御堂関白」と呼ばれたことに由来しています。ただし、実際に関白の地位には就任したことはありません。

藤原道長の政治的背景

藤原道長は、彼の父親である兼家の五男として生まれましたが、優れた運と政治的手腕により内覧及び一上の地位を兼ねて、20年以上にわたって太政官を支配しました。その後、摂政と太政大臣に昇進し、3代の天皇の后妃の父及び2代の天皇の外祖父として摂関政治の最盛期を築き上げました。

彼の子孫は基実の死去まで摂関の地位を連綿と独占しており、その後も御堂流の後裔がその地位を保持しました。御堂流から多くの家系が分かれており、五摂家や松殿、醍醐の諸家、さらには中御門流、御子左流、花山院流などが存在します。

御堂流故実の形成

御堂流は、九条流から派生した有職故実の流派としての役割を果たしており、九条流は道長の祖父である師輔が設立したものがあります。この九条流においては、道長自身が権力争いをくぐり抜ける中で、故実の流派としてはあまり成功を収めることはありませんでした。しかし、彼は妻の1人である源明子を通じて、明子の父である源高明が書いた『西宮記』を伝承し、この流派を引き継ぎました。

道長は九条流を基盤にしつつ、醍醐源氏の伝統を加え、自らの独自の流派を整備しました。この流派は道長の子である頼通と教通に受け継がれました。さらに、教通が小野宮家に嫁いだことにより、公任が著した『北山抄』を通じて小野宮流の故実も取り入れ、御堂流故実を確立させたとされています。

一方で、道長は自身が示した新しい作法を他の流派にも適用することを試みており、その意図は藤原実資の『小右記』に見て取れます。告井幸男は、道長が御堂流の方法で公家社会の故実を一元化しようとしていたと解釈し、末松剛は道長を「総覧者」と見なしています。

御堂流の重要性の深化

道長が後の世において摂関家が御堂流で席巻することに果たした意義については様々な見解がありますが、彼自身が独自の故実を創設することまでには至らなかったとされています。さらに、末松は、道長と息子の頼通の間における先例と故実の形成が、後に御堂流が摂関家の地位を保つ重要な要因の一つであったと述べています。

最終的に、院政期において道長や頼通の築いた先例や故実が「御堂流故実」として認識され、御堂流に属する者のみが使用する故実とみなされるようになりました。このようにして、基房により質的に高められた御堂流は、当時の貴族社会や政治に大きな影響を与えることとなったのです。

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