御墓山古墳

御墓山古墳

概要

御墓山古墳は三重県伊賀市佐那具町に位置する古墳であり、形状は前方後円墳です。国の史跡に指定されており、三重県内で最大のスケールを誇ります。この古墳は古墳時代中期にあたる5世紀頃に築造されたと考えられています。

この古墳は、上野盆地の北東部にある丘陵の先端を切断した特徴的な構造を持っています。これまでのところ発掘調査は行われていないため、詳細な情報は限られていますが、その形状や構造から重要な遺跡であることは明らかです。

墳丘は二段に築成されていて、前方部分は視覚の錯覚を利用して三段のように見せかけています。墳丘の全長は188メートルで、三重県内では最も大きい古墳であり、関西地域の他の有力古墳とも肩を並べる存在です。後円部には北西側に造出があり、さらに墳丘の外側は葺石で覆われています。発掘が進んでいないため、埋葬施設や副葬品の詳細は不明ですが、後円部の墳頂にある窪みが盗掘の跡であるとの見解もあります。

周囲には、後円部の南側に周堀が存在していることが確認されていますが、前方部の周囲には周堀は設けられていません。古墳の周辺には、方形の小古墳が2基築造されていることも確認されています。これらは陪塚とされ、御墓山古墳の被葬者を支える存在であったと考えられています。

文化的背景

御墓山古墳は古墳時代中期の5世紀頃に築かれたとされ、被葬者がどのような人物であったかは明確ではありません。しかし、考古学的な観点からは、伊賀地域の重要な首長であった可能性が高く、地元の伝承では第8代天皇である孝元天皇の皇子、大彦命の墓であるとも言われています。この古墳の規模は、伊賀地域の歴史の中でも特に突出しており、当時の権力構造を示唆しています。

御墓山古墳は、周辺の東山古墳や、より古い時期の古墳に続く形で存在し、その大規模な構造が当時の首長の重要性を物語っています。周囲には近時代の古墳としては存在したとされるだんな山古墳や浅間山古墳、二の谷古墳があり、これらの古墳も御墓山古墳の被葬者を支える役割を果たしていた可能性があります。この時期以降、首長墓は柘植川の対岸に移り、スケールも小さくなります。

古墳は1921年に国の史跡に指定され、1970年には丘陵の切断部や周堀、陪塚などが追加指定されています。このようにして、御墓山古墳は古代の文化と歴史を物語る重要な遺跡として多くの研究者の関心を集めているのです。

結論

御墓山古墳は、ただの古墳にとどまらず、その背後にある歴史や文化に思いを馳せるきっかけとなります。今後、発掘調査が進むことで、さらなる事実が明らかにされることが期待されます。

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