御子左家

御子左家（みこひだりけ）

御子左家は、藤原北家嫡流である藤原道長の六男、藤原長家を祖とする藤原氏の一流です。この家系は、藤原長家が「御子左民部卿」と呼ばれたことに由来し、その流れを「御子左流」とも称します。ただし、「御子左」を家名として名乗った者はいません。

「御子左」の名称は、醍醐天皇の皇子で左大臣であった兼明親王の通称「御子左大臣」に由来します。長家が兼明親王の邸宅「御子左第」を伝領したことから、この名称が用いられるようになりました。

歴史

藤原長家は、父道長の意向で藤原行成や藤原斉信の婿となり、その邸宅に住んでいましたが、後に典侍源懿子を妻に迎えました。懿子の父である源高雅が既に亡くなっていたため、長家は自ら邸宅を用意する必要がありました。そこで、醍醐源氏の縁を辿り、兼明親王の三条第を入手しました。

三条第は、神泉苑の裏という泉石清冷な場所に位置し、兼明親王の通称から「御子左第」とも呼ばれていました。この邸宅を拠点とした長家の子孫が「御子左」と称されるようになったのです。

平安時代末期から鎌倉時代前期にかけて、藤原俊成・定家父子が登場し、御子左家は歌道の家としての地位を確立しました。特に、藤原定家は新古今和歌集の撰者として知られ、その歌風は後世に大きな影響を与えました。定家の子である藤原為家は、歌道だけでなく蹴鞠の家としても知られており、その流れは「御子左流」と呼ばれました。

鎌倉時代後期、為家の三人の子供たちが家領の相続をめぐって争い、御子左家は嫡流の二条家、庶流の京極家、冷泉家に分裂しました。二条家は、婚姻関係を通じて力を築き、二条為世の娘である二条為子は、後[[醍醐天皇]]の皇太子時代の正妃となりました。また、二条為定の姉妹である二条藤子は、後[[醍醐天皇]]の側室となっています。二条家と京極家の家系は南北朝時代までに断絶しましたが、現在では上冷泉家と下冷泉家、そしてその庶流の入江家が残っています。

御子左家の系譜

御子左家の系譜は、藤原長家を始祖とし、歌道の家として繁栄しましたが、鎌倉時代後期に分裂しました。それぞれの家系は、独自の歌風を築き、後世に大きな影響を与えました。

御子左家（二条家）: 嫡流として、歌壇の中心的な存在でした。二条為子のように、朝廷と密接な関係を築いた人物もいます。
京極家: 庶流として、独自の歌風を展開しました。
* 冷泉家: 上冷泉家と下冷泉家に分かれ、現代まで家系が続いています。

御子左家の文化

御子左家は、歌道だけでなく、蹴鞠などの文化にも深く関わっていました。特に、藤原定家は歌論書『近代秀歌』を著し、歌道の理論を体系化しました。また、日記文学としても知られる『明月記』は、当時の社会情勢や文化を知る上で貴重な資料となっています。

御子左家は、日本の文化史において重要な役割を果たしました。その影響は、歌道だけでなく、日本の文化全般に及んでいます。

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