御射鹿池

御射鹿池（みしゃかいけ）

御射鹿池は、長野県茅野市豊平に位置する美しい溜め池です。八ヶ岳中信高原国定公園内にあり、その風光明媚な景観から、2010年には農林水産省のため池百選にも選定されました。池の面積は約0.1ヘクタール、最大水深は8メートル、貯水量は2万6000立方メートルとなっています。

概要

御射鹿池は、奥蓼科温泉郷に位置する横谷渓谷にあります。この地域は、酸性の冷鉱泉の影響と標高1,100メートルの高地に由来する冷害に長年苦しんできました。1933年（昭和8年）に御射鹿池が完成したことで、冷たい水を溜めて温め、農業用水として利用することが可能になりました。渋川から引かれた2万6000立方メートルの水は、地域にとって貴重な灌漑用水源となっています。しかし、水源の酸性度が高く、魚が生息できないほどで、稲作にも適さないという問題がありました。この問題は、湧水を加えることで解決が図られています。

御射鹿池は、日本画家・東山魁夷の代表作の一つである『緑響く』（1972年）のモチーフとなったことで一躍有名になりました。絵画を通してその名が広く知れ渡り、多くの観光客が訪れる人気のスポットとなっています。近年では外国人観光客も増加しており、茅野市は転落防止用の柵付き遊歩道や駐車場を整備するなど、観光客への配慮も行っています。また、市や地元の観光協会などが主催するツアーも実施されています。

名前の由来

「御射鹿池」という名前は、諏訪大社に伝わる神事「御射山御狩神事」に由来すると伝えられています。この神事は、神に捧げる鹿を射るというもので、御射鹿池一帯は、諏訪大明神が狩りをする場所として「神野」と呼ばれ、神聖な土地とされてきました。

自然

御射鹿池周辺は豊かな自然に囲まれており、カモやルリイトトンボ、蝶など様々な生き物が生息しています。水辺にはキキョウやユリなどが植栽され、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。湖水のpHは4前後と強酸性ですが、この酸性環境を好むチャツボミゴケが湖底に繁茂しており、湖面に周囲の木々が美しく映り込む要因となっています。

アクセス

道路

長野県道191号渋ノ湯堀線 明治温泉口からアクセスできます。

路線バス

中央本線茅野駅西口バス1番のりばから「奥蓼科渋の湯線」に乗車し、「明治温泉入口」停留所で下車してください。

その他

御射鹿池は、その美しい景観から、様々なメディアにも登場しています。吉永小百合が出演したAQUOSのCMや、藤森慎吾が務める諏訪エリア観光特使のポスター撮影にも使用されました。蓼科高原を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

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