串間市

宮崎県串間市：温暖な気候と豊かな自然に恵まれた最南端の都市

串間市は宮崎県の最南端に位置し、東は日向灘、南は志布志湾に面した、変化に富んだ地形を持つ市です。海岸線は日南海岸国定公園に指定され、幸島や都井岬など、多くの観光スポットが存在します。内陸部は丘陵地帯が広がり、男鈴山（783m）や高畑山（518m）といった山々がそびえ立ちます。福島川、大矢取川などの河川が流れ、築島、鬢垂島、幸島といった島々も点在しています。都城市、日南市、志布志市（鹿児島県）と隣接し、地理的に重要な位置を占めています。

気候と歴史

黒潮の影響を受け、夏は高温多湿、冬は比較的温暖な気候です。夏から秋にかけては台風シーズンとなり、影響を受けやすい地域でもあります。温暖な冬は、かつて中日ドラゴンズの春季キャンプ地として利用されていました。

歴史的には、室町時代には野辺氏が勢力を持ち、櫛間城を築きました。室町幕府3代将軍足利義満の子、大覚寺義昭が当地で自刃したという歴史的な事件も残されています。江戸時代には高鍋藩領でしたが、飫肥藩と薩摩藩に挟まれた飛び地としての特殊な状況にありました。近年では、1954年（昭和29年）に福島町、大束村、本城村、都井村、市木村が合併して串間市が誕生しました。

市政と社会問題

串間市は、過去に市長選をめぐる汚職や選挙違反事件が複数発生し、大きな社会問題となりました。特に、野辺修光元市長は複数の汚職事件に関与し、市長職を失職しています。これらの事件は、市政運営への信頼を大きく損ないました。その後、市町村合併の話もありましたが、現在は単独市制を維持しています。

また、原発誘致問題も、串間市の歴史において重要な出来事となっています。1990年代には九州電力による原発建設計画が浮上しましたが、住民投票条例制定や住民運動などの結果、計画は凍結されました。この問題は、市民の政治参加の重要性を改めて浮き彫りにしました。

産業と文化

串間市の産業は、農業、水産業、観光業が中心です。農業では早場米、サツマイモ、キンカン、マンゴーなどが栽培され、特に「ヤマダイかんしょ」は地理的表示保護制度に登録されたブランドサツマイモとして知られています。水産業ではアジ、サバ、カツオなどの近海魚や、イワガキ、カンパチ、ブリなどの養殖が盛んです。「黒瀬ぶり」は地元ブランドとして人気を博しています。

観光面では、都井岬や幸島など自然豊かな観光地が人気を集めています。都井岬灯台は「日本の灯台50選」に選定されています。その他、串間神社、旧吉松家住宅などの歴史的建造物や、様々な祭りやイベントも観光資源として注目されています。

商業面では、大型商業施設は少ないですが、コンビニエンスストアや地場チェーン店などが営業しています。近年は、書店がゼロという現状が課題として認識されています。

教育と交通

教育面では、宮崎県初の連携型中高一貫校である宮崎県立福島高等学校・串間市立串間中学校があります。検定試験受験費用助成など、教育への投資も積極的に行われています。

交通面では、最寄りの空港は宮崎空港です。JR日南線が市内を走り、串間駅が中心的な駅となっています。バス路線は、宮崎交通による路線バスと、コミュニティバス「よかバス」が運行されています。東九州自動車道の建設も進められており、今後の交通アクセス改善が期待されています。

まとめ

串間市は、温暖な気候、豊かな自然、歴史的な文化遺産を擁する魅力的な都市です。しかし、過去の社会問題や課題も抱えつつ、地域活性化に向けた取り組みを続けています。観光業の振興や産業の多様化、教育への投資など、今後の発展が期待される地域です。

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