御嶽 (兵庫県)

御嶽山：丹波修験道の歴史と豊かな自然が織りなす霊峰

兵庫県丹波篠山市にそびえる御嶽山は、標高793メートルを誇る多紀連山の最高峰です。古くから霊山として崇められ、丹波修験道の中心地として栄えた歴史を持ちます。山頂からは、丹波地方の雄大なパノラマが広がり、特に秋には雲海に浮かぶ幻想的な景色が楽しめます。また、春にはクリンソウが咲き乱れ、多くの登山客を魅了しています。

丹波修験道と御嶽山

鎌倉時代から室町時代にかけて、多紀連山は丹波修験道の重要な拠点でした。御嶽山はその中心的存在であり、山頂周辺には、かつて修験道の修行場や寺院が数多く存在していました。現在も、山頂から600メートルほど離れた場所には、大岳寺の跡が残されています。東峰には、役行者を祀った石室があり、当時の信仰の厚さを物語っています。最盛期には、大岳寺のほかにも蔵王堂や福泉寺など多くの寺院や建物が立ち並び、賑わいを見せていました。しかし、1482年、大和修験道との争いに敗れ、大岳寺などは焼失。丹波修験道は衰退の一途を辿ることになります。現在も、毎年5月には山開きが行われ、多くの参拝者で賑わいます。

多様な登山ルート

御嶽山への登山ルートは様々です。篠山口駅から神姫バスを利用し、栗柄口や栗柄奥から登るルート、大たわ峠から登るルートなどが一般的です。

栗柄ルートは、御嶽山の北側にある栗柄（標高330メートル）から西ヶ嶽を経由し、御嶽山の中間地点にある標高650メートルの前山を目指すルートです。八柱神社横に案内板があり、登山道を進むと、愛染窟という自然の岩穴があります。この岩穴は、修験道の行場の一つとして知られ、NHK連続テレビ小説「甘辛しゃん」のロケ地にもなりました。内部には愛染明王が祀られており、神秘的な雰囲気に包まれています。洞窟内の湧き水は、地元の人々から霊水として大切にされています。

大たわルートは大たわ峠駐車場（標高512メートル）から山頂を目指すルートで、標高差が約280メートルと比較的容易なコースです。初心者にもおすすめです。

藤岡ダムルートと黒岡川ルートは、御嶽山の南側にある藤岡ダムから出発するルートです。奥池や西ヶ嶽を経由し、山頂を目指します。これらのルートは、豊かな自然を満喫しながら登山を楽しめるコースとなっています。

御嶽山の魅力

御嶽山は、歴史と自然が融合した魅力的な山です。丹波修験道の歴史を肌で感じながら、雄大な景色を眺め、四季折々の自然美を楽しむことができます。登山道も整備されており、体力に合わせてコースを選べるのも魅力の一つです。丹波地方を訪れた際には、ぜひ御嶽山に登って、その魅力を体感してみてください。初心者から上級者まで、様々な登山者に最適な山です。雄大な景色、歴史、そして豊かな自然、全てを満喫できる御嶽山は、忘れられない思い出をプレゼントしてくれるでしょう。

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