御幸道路

御幸道路：伊勢神宮を結ぶ歴史と景観の道

御幸道路は、三重県伊勢市に位置し、伊勢神宮の豊受大神宮（外宮）と皇大神宮（内宮）を結ぶ、全長約5.5kmの道路です。国道23号および三重県道の一部として機能し、1910年（明治43年）に開通しました。天皇の伊勢神宮参詣の際の参拝経路として利用されることから、「御幸道路」と名付けられました。

歴史的背景

明治時代以前、外宮と内宮を結ぶ道は幅が狭く、急な坂道を含む伊勢街道しかありませんでした。そこで、三重県は新たな道路建設を決定し、国家の補助を得て御幸道路が建設されました。建設費は当時の金額で375,000円余り。開通後、路線バスが運行され、外宮と内宮を結ぶ主要なルートとなりました。

路線概要

御幸道路は、伊勢市の都市計画において重要な役割を担っています。市街地の交通効率化を図る「内環状軸」と、外宮と内宮を結ぶ「外宮・内宮連絡軸」として位置づけられ、景観計画においては「景観重要道路」に指定されています。

建設当初から道幅が広く設計され、外宮前から錦水橋、猿田彦神社前から宇治橋までの区間にはレンガ敷きの歩道が設けられました。また、路面電車が通る区間の車道は石畳で舗装されました。道路幅員は約14.5mで、両側には幅約1.8mの歩道が整備されています。

路線データ
起点：三重県伊勢市本町 外宮北交差点
終点：三重県伊勢市宇治今在家町 宇治橋前
主な経由地：倉田山
路線延長：5.5km
* 路線幅員：14.5m（2車線、一部4車線）、両側に歩道あり

沿道の景観

御幸道路沿道には、見どころが数多く存在します。御木本幸吉の寄付によって整備された街路樹や、篤志家によって献灯された石灯籠が並び、美しい景観を作り出しています。また、外宮前から伊勢商工会議所前までは官庁街、倉田山付近は文教地区となっています。

春には桜並木が美しく、秋には紅葉が楽しめます。特に、御木本幸吉が寄付したサクラとカエデの街路樹は、四季折々の風景を演出します。

大鳥居

御幸道路のシンボルとも言える大鳥居は、1993年（平成5年）に再建されたものです。初代の鳥居は松下幸之助が寄贈したものでしたが、道路拡張のために撤去されました。その後、市民の要望により、勢濃工業株式会社社長の伊藤源一が寄贈し、現在の場所に再建されました。鋼鉄製の鳥居は、高さ22.7m、幅19mを誇ります。

夜間にはライトアップされ、通常はオレンジ色に照らされます。また、アイルランドの祝祭日であるセント・パトリックス・デーには、緑色にライトアップされるなど、特別な演出も行われます。

石灯籠について

御幸道路沿いには、かつて多くの石灯籠が建ち並んでいました。これらの石灯籠は、1955年に設立された「伊勢三宮奉賛献燈会」が献灯者を募り、設置したものです。しかし、献燈会の解散後、管理責任が曖昧になり、老朽化による倒壊の危険性が指摘されていました。2018年には、石灯籠の一部が落下し、歩行者が死亡する事故が発生したため、安全性を考慮し、すべての石灯籠が撤去されました。

現在の御幸道路

現在、御幸道路は外宮と内宮を結ぶ重要な交通路として、地域住民や観光客に利用されています。沿道の街路樹や史跡を巡りながら、歴史と文化に触れることができる道として、多くの人々に親しまれています。全日本大学駅伝対校選手権大会の最終区間としても利用され、スポーツの舞台としても活用されています。

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