御法川修

御法川 修（みのりかわ おさむ）は、1972年4月2日に静岡県下田市で生まれた日本の映画監督です。多岐にわたる分野で映像作品を手がけ、そのキャリアは1991年に助監督としてスタートしました。

キャリアの初期段階では、崔洋一、村川透、原隆仁、渡邊孝好、古厩智之、中江裕司といった日本映画界を代表する多くの監督たちに師事し、現場での豊富な経験を積み重ねました。特に、1994年の利重剛監督作品『エレファントソング』では、助監督としての役割に加え、共同脚本も担当。この作品はベルリン国際映画祭95のヤングフォーラム部門に選ばれ、最優秀アジア映画賞にあたるNETPAC賞を受賞するなど、助監督時代からその才能の一端を見せていました。

長年の経験を経て、2006年に自身の劇場用映画監督デビュー作となる『世界はときどき美しい』を発表。この作品は第19回東京国際映画祭の「日本映画・ある視点」部門に出品され、監督としての第一歩を踏み出しました。

その後、ドキュメンタリー映画の分野でも評価を得ます。2008年に完成させたドキュメンタリー『色彩の記憶』は、ゆふいん文化・記録映画祭の「第一回 松川賞」に選ばれたほか、2009年にはフランスで開催されたKINOTAYO現代日本映画祭で芸術協会賞を獲得しました。また、映画俳優・松田優作の没後20年・生誕60年を記念して製作されたドキュメンタリー映画『SOUL RED 松田優作』（2009年）を監督。第22回東京国際映画祭の特別招待作品として上映された後に全国公開され、話題となりました。

劇映画では、2012年に長編第一作となる『人生、いろどり』を監督。徳島県上勝町を舞台にしたこの作品は、第37回湯布院映画祭で特別試写として披露され、先行上映された徳島県内の映画館では公開2週間で観客動員1万人を超える成功を収めました。2013年には、益田ミリ原作の人気コミックを映画化した『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』を手がけ、第25回東京国際映画祭の特別招待作品となった後、全国で公開されました。さらに、2016年には『泣き虫ピエロの結婚式』、2018年には最新作『母さんがどんなに僕を嫌いでも』を監督。『母さんがどんなに僕を嫌いでも』は第23回釜山国際映画祭に出品されるなど、国内外で注目を集めています。

映画以外にも、御法川監督はテレビドラマ、ミュージックビデオ（MV）、コマーシャル（CM）など幅広いジャンルの演出を手がけています。テレビドラマでは、『幼獣マメシバ 望郷篇』、『いつかティファニーで朝食を』、『きみはペット』、『宮沢賢治の食卓』、『ダブル・ファンタジー』、『私の夫は冷凍庫に眠っている』など多数の作品に参加。MVではカサリンチュの楽曲を複数担当し、CMではエースコック、クボタ、シオノギ製薬などの企業広告を演出しており、中には「消費者のためになった広告コンクール」で金賞を受賞した作品もあります。

助監督時代の経験で培われた確かな技術と、ドキュメンタリーからフィクションまでを横断する柔軟な視点を持つ御法川修監督は、今後もその多彩な才能を活かして様々な作品を世に送り出すことが期待されています。

もう一度検索