御薗宇城

御薗宇城は、現在の広島県東広島市高屋町高屋堀にあった日本の城で、平賀氏の遺跡の一つとして県の史跡に指定されています。ここでは御薗宇城の歴史や構造について詳しく解説します。

歴史

御薗宇城は鎌倉時代末期、出羽国平鹿郡を本拠地としていた平鹿氏の一族によって築かれました。彼らは元寇に備えて西国に下り、この地に城を築いて拠点を構えたのです。南北朝時代には、家督相続問題から内紛が発生しましたが、平鹿郡を所領としていた惣領の平賀直宗が高屋保に移り住み、安芸国の有力国人領主として勢力を拡大しました。

室町時代に入ると、安芸国の守護となった山名満氏と平賀氏は対立を深めます。応永10年（1403年）、山名満氏は平賀弘章が籠る御薗宇城を包囲し攻撃を開始しました。この戦いは、平賀氏が他の安芸国人衆の支援を受け、3年に及ぶ長期戦となりました。激戦の末、平賀弘章の子である平賀共益、平賀惟益、平賀惟元らが討死しましたが、最終的には山名満氏を撃退し、平賀氏はその地位を守り抜きました。

戦国時代になると、当主の平賀弘保は文亀3年（1503年）に白山城を築き、新たな居城としました。しかし、御薗宇城も引き続き維持され、慶長5年（1600年）前後に廃城になったと推測されています。

城跡の概要

御薗宇城は、東西120メートル、南北170メートルの規模を持ちます。山城でありながら比高が低く、平山城に近い形式をしています。防御拠点としての機能が重視されていた一方で、城内には居館も併設されており、鎌倉時代の御家人の居館様式を色濃く残しています。

城郭は、比高の低い丘陵を堀切で遮断し、3段の平坦な曲輪と、居館の場所を三方から馬蹄状に取り囲む土塁状の曲輪で防御を固めています。

平賀氏の墓地

平賀氏の墓地は、御薗宇城から北西500メートルの場所に位置し、かつて平賀氏の菩提寺であった明道寺（廃寺）の跡にあります。墓地には、平賀弘保の墓、平賀隆宗やその妻の墓と伝えられる宝篋印塔や五輪塔、石仏など、約40基が現存しています。

昭和44年（1969年）4月28日、平賀氏の墓地は、御薗宇城、白山城、頭崎城と共に「平賀氏の遺跡」の１つとして県の史跡に指定されました。

御薗宇城は、平賀氏の歴史と文化を今に伝える貴重な史跡です。その遺構は、中世の城郭構造や武士の生活を知る上で重要な手がかりとなります。訪れる人々は、往時の様子を偲びながら、歴史の重みを感じることができるでしょう。

参考資料
広島県教育委員会『広島県中世城館遺跡総合調査報告書』

関連項目
日本の城一覧
平賀氏
毛利氏

外部リンク
* 広島県の文化財 - 平賀氏の遺跡（御薗宇城跡，白山城跡，頭崎城跡，平賀氏の墓地） - 広島県の文化財（広島県教育委員会）

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