御鼻部山

御鼻部山について

御鼻部山（おはなべやま）は、青森県と秋田県の県境に位置し、十和田湖の北岸にそびえる標高1,010.6メートルの山です。この山は十和田湖を囲む外輪山の一部で、時には「花部山」や「膳棚山」とも呼ばれています。特にその位置は、県境において重要な指標として位置付けられています。

歴史的背景

この山の歴史は古く、江戸時代にさかのぼります。当時、休屋に立地する十和田神社は熊野神社として勧進され、盛岡藩によって重視されていました。盛岡藩は、弘前藩や秋田藩に対する戦略的な要地として、この地域を重要視し、毎年盛岡藩の特使が参拝していました。南部家の系列の祈願寺として、盛岡山永福寺の分院が管理され、地域の宗教的な中心地とされていました。

そういった背景の中で、御鼻部山は藩からの保護を受け、地元を含む外部勢力との争いから山を守ってきました。このため、他の地域からの信者は遠くからこの山に向かう必要があり、その道のりは困難を伴ったと伝わっています。

県境の確定へ

御鼻部山は、1900年代初頭までは県境の確定において重要な役割を果たしてきました。青森県と秋田県の境界が未確定であったため、山頂がその基準となり、長い間協議が続けられました。2008年8月29日、ようやくこの地域の境界が正式に確定しました。これは、廃藩置県から137年間も続いた未確定の状態からの脱却を意味し、地元の地域住民にとっても大きな意味を持つ出来事でした。

観光スポット

御鼻部山は観光地としても魅力を持っています。山頂には、十和田湖を一望できる展望台が設置されており、ここからの景色は絶景です。この展望台は、発荷峠展望台、瞰湖台と共に「十和田湖三大展望所」と称されています。国道102号線が展望台の近くを走っており、大型駐車場や公衆トイレも利用できるため、訪れる観光客には便利です。

さらに、昭和初期に設けられた自動車道が御鼻部山から猿倉温泉まで続いていますが、長年の放置により道路状況は良くありません。それでもこの旧道は歩行者用として利用可能で、櫛ヶ峯へ登る際にも利用できるルートとなっています。しかし、整備が行われていないため、藪をかき分けるような部分も多く、上級者向けの登山コースとされています。

そして、御鼻部山の南側の山麓には、長距離自然歩道の一部である東北自然歩道が整備されており、瀧ノ沢から子ノ口までを結ぶ約12キロメートルの距離を自然の中で楽しむことができます。この道は、山麓での散策に最適な環境を提供しています。

まとめ

御鼻部山は、その歴史的な意義と美しい自然環境から、地域の文化と観光を支える重要な存在です。特に、十和田湖との関係は深く、今後も多くの訪問者を惹きつけることでしょう。

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