徳島高義

徳島高義（とくしま たかよし、1934年 - 2020年6月6日）は、千葉県銚子市出身の著名な文芸編集者です。彼の編集者としてのキャリアは、日本の近代文学史において重要な役割を果たしました。

銚子市立銚子高等学校を経て千葉大学文理学部を卒業後、1958年に講談社に入社。同年、『群像』編集部に配属されます。当時の編集長は大久保房男であり、徳島はここで文芸編集者としての基礎を築きました。

『群像』編集部では、野間宏、武田泰淳、椎名麟三、中村真一郎、梅崎春生、大岡昇平、三島由紀夫、長谷川四郎、島尾敏雄、小島信夫、藤枝静男、安岡章太郎、庄野潤三、吉行淳之介、大江健三郎、佐々木基一、江藤淳、丸谷才一、小川国夫、川村二郎など、錚々たる作家たちを担当しました。彼らの作品を世に送り出す過程で、徳島は作家との信頼関係を築き、作品の魅力を最大限に引き出すことに尽力しました。

1971年から1973年まで『群像』編集長を務めました。編集長時代には、大岡昇平、庄野潤三、大江健三郎、阿部昭といった作家たちの新連載を開始し、『群像』の新たな時代を切り開きました。彼の編集手腕は、文学界に大きな影響を与えました。

1973年から1981年まで文芸第三出版部（後の翻訳出版部）に在籍し、翻訳文学の出版にも携わりました。1981年から1989年まで文芸第一出版部に在籍し、文学作品の出版に貢献しました。1988年6月には文芸局長に就任し、講談社の文芸部門を統括する立場となりました。1989年2月からは取締役を兼任し、講談社の経営にも参画しました。1993年には常務取締役に就任。

2001年に財団法人野間教育研究所専務理事を最後に講談社を退任。その後も文学への情熱は衰えず、2019年には日本近代文学館監事に就任し、文学界の発展に貢献しました。

著書に『ささやかな証言─忘れえぬ作家たち』（紅書房、2010年）があります。この著書では、彼が担当した作家たちとの交流や、編集者としての経験が綴られており、貴重な証言として文学研究者や文学ファンに読まれています。

徳島高義は、編集者として、また文学界のリーダーとして、日本の近代文学に多大な貢献をしました。彼の功績は、今後も長く語り継がれることでしょう。

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