徳川宗武

徳川 宗武 - 江戸時代中期の武士と歌人

基本情報

徳川宗武（とくがわ むねたけ）は、江戸時代中期の著名な武士、歌人、国学者であり、第8代将軍徳川吉宗の三男です。彼は御三卿の一つである田安家の初代当主として、その名は田安 宗武（たやす むねたけ）とも流布しています。彼の官位は従三位権中納言であり、政治的にも文化的にも重要な役割を果たしました。

生涯の概要

宗武は、父の徳川吉宗が和歌山藩を治めていた時代に生まれました。母は竹本正長の娘である於古牟（本徳院）です。幼少期からその才覚が光り、国学や歌学、万葉集に対して深い知識を持つようになりました。将軍の後継者として父から期待を寄せられたものの、結局は異母兄の家重が将軍の座につくこととなりました。

宗武を将軍後継者に推す意見があったものの、家重の嫡男である家治の優れている点も考慮し、最終的に家重が選ばれました。この後継者問題は長年にわたり家族間で緊張を引き起こし、家重が将軍に就任した後、宗武は3年間も登城禁止という処罰を受けることになります。

宗武は、将軍の地位を望んでいたため、家重の短所について意見を述べたところ、父の吉宗から叱責され、1747年からの謹慎を余儀なくされました。彼は吉宗の思惑に反抗する形で、尾張藩の後継者としての地位も考慮されていましたが、尾張藩内の反発によりこの計画は中止されました。

宗武は1771年の6月に逝去し、享年は57歳でした。彼の死後、田安徳川家は五男の治察に受け継がれることとなりました。

文化活動

宗武は、文化的な側面でも影響力を発揮しました。特に、父である徳川吉宗が冷泉家の歌壇との関係を重視していたこともあり、彼もまた古典文学、特に詩作に傾倒しました。

1734年、父の指示により、弓術の復興を目指し、吉宗が重要視していた伝統的な儀式や故実にも大きな関心を寄せました。彼の著作には『天降言』の歌集や、古典文献に対する注釈書があり、これらは彼の国学者としての側面を示しています。また、荷田在満からの影響を受けた『国歌八論余言』などの著作もあり、古典文学を通して日本の文化に貢献しました。

家族

宗武は15人の子女に恵まれたものの、長男から四男までの男子は早世しました。最終的に五男の治察が田安徳川家を継承することとなりました。正室には近衛通子（宝蓮院殿）を迎え、多くの姉妹との関係もありました。

参考文献と登場作品

宗武に関する研究は多く存在し、特に土岐善麿による研究が名高いです。また、彼はテレビドラマや漫画作品にも登場しており、彼の生涯と業績は今もなお多くの人々に親しまれ続けています。

彼の影響は、文学や武道を通じて大きく残っており、その存在は江戸時代の文化を語る上で欠かせないものとなっています。

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