徳川斉温

徳川斉温の生涯と業績

徳川斉温（とくがわ なりはる）は、江戸時代後期における著名な大名であり、尾張藩の第11代藩主として知られています。彼は徳川家斉の19番目の子供で、母は青蓮院の側室であるお瑠璃の方でした。幼少期には直七郎として知られていました。斉温は文政5年（1822年）に、従兄である徳川斉朝の養子として家を継ぐこととなります。

養子から藩主へ

文政10年（1827年）には9歳にして藩主の地位を引き継ぎ、以降、倹約令の発布や財政の立て直しに尽力しました。特に、不作に苦しむ領民に対しては、救恤米を支給するなど、慈悲深い政治を施していました。しかし、彼の治世は順風満帆とは言えず、天保7年（1836年）に福君の入輿の際に派手な行列を行ったことが、財政の悪化を招く一因となりました。

また、天保9年（1838年）には江戸城の西の丸の再建に際し、9万両と木曾檜を献上したことでさらなる財政の窮地に陥りました。彼の浪費癖は鳩の飼育にも及び、数百匹の鳩を所有し、一羽一羽に名前を付けて世話をしていたため、藩士たちには困難が課せられました。

知識と素直さ

興味深いことに、斉温は物に対する執着を戒められた際には、すぐに鳩を解き放つ決断を下しました。これは彼が家臣の意見に耳を傾け、柔軟な態度を持つ人物であったことを示しています。さらに、彼は学問を好み、家臣たちと共に講義を受ける姿勢を見せるなど、知的な側面も持ち合わせていました。

病弱な日々と最期

病弱だったため、斉温は生涯の大半を江戸藩邸で過ごし、生涯の12年間、尾張藩の領内には一度も足を運ぶことがありませんでした。彼は21歳で亡くなるまで、藩の運営に多大な影響を及ぼしたものの、子孫を残すことはありませんでした。最期には異母兄の斉荘が家督を相続し、彼の名は新たな世代へと引き継がれることとなります。

官職と位階

徳川斉温の官職や位階の履歴は次の通りです：

• - 1822年（文政5年）：尾張藩主徳川斉朝の養子となる。
• - 1826年（文政9年）：元服し、父から偏諱を受けて斉温と名乗る。従三位に叙され、左近衛権中将に任官。
• - 1827年（文政10年）：藩主となる。
• - 1830年（文政13年）：参議に補任。
• - 1831年（天保2年）：権中納言に転任。
• - 1837年（天保8年）：従二位に昇叙し、権大納言に転任。
• - 1839年（天保10年）：薨去。

彼の法名は良恭院殿譲譽盛徳源僖大居士であり、諡は僖公とのことです。彼の墓所は名古屋市東区筒井にある徳興山建中寺に位置しています。

系譜

斉温の家庭背景は以下の通りです：

• - 父：徳川家斉
• - 母：青蓮院（お瑠璃の方、戸田政方の娘）
• - 正室：琮樹院（愛姫、徳川斉匡の十四女）
• - 継室：俊恭院（福君）
• - 養子：徳川斉荘（徳川家斉の十二男）

徳川斉温は変革の時代に生き抜き、その業績は尾張藩の歴史において重要な位置を占めています。

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