徳永昌重

徳永昌重は、江戸時代初期の大名であり、美濃高須藩の第2代藩主として知られています。彼は、初代藩主である徳永寿昌の長男として、天正8年（1580年）に越前国で生を受けました。

豊臣家への仕官

父・寿昌と同じく、昌重もまた豊臣秀吉に仕えました。慶長3年（1598年）には、秀吉の死に際して、その遺物である名刀「兼光」を授かるという栄誉に浴しました。このことから、秀吉からの信任が厚かったことが伺えます。

徳川家への仕官

豊臣秀吉の死後、徳川家康が台頭すると、昌重は父と共に徳川家康に仕えることになります。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、家康の会津征伐に従軍しました。その後も、徳川幕府との関係を深め、慶長10年（1605年）には、徳川秀忠の将軍宣下の参内にも供奉しています。

大名としての活躍

慶長16年（1611年）、昌重は禁裏普請の助役を務め、この時、5万700石の知行を得ました。翌慶長17年（1612年）に父・寿昌が亡くなると、その跡を継いで高須藩の藩主となりました。昌重は、藩主として領内の統治に尽力したとされています。

大坂の陣での武功

慶長19年（1614年）の大坂冬の陣では、松平忠明の配下として船場を守備しました。翌慶長20年（1615年）の大坂夏の陣では、道明寺口の戦いに参加し、寄手として活躍しました。この戦いで73もの首級を挙げるという武功を立て、その勇猛さを天下に知らしめました。この功績により、元和3年（1617年）には、開墾地と併せて5万3,700石まで加増されています。

失脚と晩年

昌重の勢いは長くは続きませんでした。寛永3年（1626年）には、徳川家光の上洛に扈従し、二条城行幸の際の参内に供奉するなど、幕府内での地位を保っていましたが、寛永5年（1628年）に大坂城二の丸の石垣普請の助役を務めた際、工事の遅延の責任を問われ、領地を没収されてしまいます。この時、昌重は除封され、出羽国庄内藩主の酒井忠勝に身柄を預けられるという不遇をかこちました。その後、寛永9年（1632年）には、同国新庄藩主の戸沢政盛のもとに移されました。配所での生活は厳しいものだったと思われます。

寛永19年（1642年）6月19日、昌重は配所にて波乱に満ちた生涯を終えました。享年63歳でした。

徳永昌重は、豊臣家、徳川家という二つの政権に仕え、大坂の陣での武功を立てるなど、活躍を見せましたが、最終的には失脚し、不遇の晩年を送りました。彼の人生は、戦国時代から江戸時代への転換期における大名の盛衰を象徴するものと言えるでしょう。

参考文献

堀田正敦『国立国会図書館デジタルコレクション 寛政重脩諸家譜. 第6輯』國民圖書、1923年、747-748頁。
高柳光寿; 松平年一『戦国人名辞典』吉川弘文館、1981年、169頁。

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