戸沢政盛

戸沢政盛：波乱の生涯と新庄藩の礎

戸沢政盛は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将であり、常陸松岡藩、そして出羽新庄藩の初代藩主として知られています。その生涯は、出自の困難から始まり、数々の試練を乗り越えて大名にまで上り詰めた、波乱に満ちたものでした。

生い立ちと家督相続

天正13年（1585年）、戸沢盛安の長男として生まれた政盛ですが、母は身分の低い農民の娘であったため、当初は家督を継ぐ資格がないとされていました。しかし、父・盛安と叔父・光盛が相次いで亡くなり、戸沢家が断絶の危機に瀕した際、家臣団によって擁立されました。彼らは政盛を大坂に連れて行き、豊臣秀吉に謁見させて家督を相続させることに成功します。この時、光盛の正室であった大森御前が養母として政盛を支えたと伝えられています。

関ヶ原の戦いと松岡藩主

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、東軍に与して上杉景勝の東禅寺城を攻略するなどの功績を挙げ、慶長7年（1602年）には常陸国に4万石を与えられ、松岡藩主となりました。しかし、上杉家の衰退を恐れる幕府の思惑により、旧領からは5千石の減封となっています。

大坂の陣と幕府との関係強化

慶長19年（1614年）の大坂冬の陣、翌年の大坂夏の陣では、徳川家のために尽力し、幕府からの信頼を深めます。また、徳川譜代の重臣である鳥居忠政の妹を正室に迎え、さらに忠政の次男を養子に迎えるなど、幕府との関係を強化しました。

出羽新庄藩主として

元和8年（1622年）、出羽山形藩の最上家が改易されると、政盛は最上郡と村山郡に2万石を加増され、新庄に移封されました。これにより、戸沢家は故郷である出羽国への復帰を果たし、政盛は新庄藩6万石の藩主となりました。その後は、藩政の確立に尽力し、領内の発展に貢献しました。

死去と後継

慶安元年（1648年）、政盛は64歳でこの世を去りました。嫡男の定盛が早世していたため、後を継いだのは実子の正誠でした。

家臣団

政盛を支えた家臣には、重臣の戸沢政房をはじめ、戸沢盛元、戸沢盛茂、吉高盛信、八柳盛繁、安島隼人、戸蒔義広などがいます。彼らは、政盛の治世を支え、藩の発展に貢献しました。

系譜

父：戸沢盛安
母：仙北在家の娘（側室）
正室：真室御前（巨川院、鳥居元忠の娘）
側室：於佐古（久照院、楢岡光信の娘）、天慶院（門屋氏の娘）
子女：戸沢正誠（次男）、戸沢定盛（養子）

脚注

注釈
出典

参考文献

阿部猛; 西村圭子 編『戦国人名事典コンパクト版』新人物往来社、1990年9月。ISBN 4-404-01752-9。
大友義助『新庄藩』現代書館〈シリーズ藩物語〉、2006年8月。ISBN 4-7684-7105-6。
東京大学史料編纂所データベースより「戸沢家譜」

戸沢政盛は、数々の困難を乗り越え、戸沢家を再興させ、新庄藩の基礎を築いた名君として、後世に語り継がれています。

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