徳瀬川正直

徳瀬川 正直

徳瀬川 正直（とくせがわ まさなお）は、モンゴル国オブス県（出生地はウランバートル市）出身の元大相撲力士です。本名をバダムサンボー・ガンボルドといい、1983年8月6日に生まれました。身長190cm、体重158kgという立派な体格を持ち、得意手は右四つからの寄りでした。最高位は西前頭筆頭。

角界への道

13歳からモンゴル相撲に親しみ、18歳の時にはモンゴルジュニア級で4位となるなど、その才能を示していました。大学に進学するも半年で中退し、遠縁にあたるモンゴル相撲の元関脇が旭鷲山と面識があった縁から、日本へ渡りました。実業団である摂津倉庫相撲部で短期間稽古を積んだ後、桐山部屋へ入門を果たしました。

下積みと台頭

2003年7月場所で初土俵を踏んだ徳瀬川は、着実に番付を上げていきました。2006年11月場所では、東三段目15枚目で7戦全勝の成績を収め、三段目優勝を果たしています。この頃には、土俵上での言動が注目されたこともありましたが、昇進への道のりを歩み続けます。幕下上位に定着するものの、関取昇進を目前にして惜しいところで足踏みが続く時期がありました。

関取昇進と幕内入り

粘り強い相撲で幕下上位を維持し、2009年5月場所では、東幕下2枚目の地位で再び快進撃を見せ、7戦全勝で幕下優勝を飾りました。この見事な成績により、翌7月場所での新十両昇進が決定。これは、師匠である桐山親方（元黒瀬川）が初めて関取に育て上げた力士として記録されることとなりました。新十両場所では8勝7敗と勝ち越し、続く場所では番付を上げましたが、十両では勝ち越しと負け越しを繰り返しました。しかし、東十両筆頭で迎えた2010年1月場所で9勝6敗と勝ち越しを決め、翌3月場所で念願の新入幕を果たしました。

部屋移籍と突然の引退

2011年1月場所後、所属していた桐山部屋が閉鎖となり、朝日山部屋へ移籍しました。そして、同年2月28日に発表された番付では、自己最高位となる西前頭筆頭にまで番付を上げたのです。しかし、この直後に角界を揺るがす大相撲八百長問題が発覚。日本相撲協会は八百長に関与した力士への処分を発表し、徳瀬川も引退勧告の対象となりました。当初、本人は証拠がないことへの不満を表明し、処分を受け入れられない心情を吐露しましたが、他のモンゴル出身力士や横綱白鵬関とも話し合った末、引退勧告を受け入れることを決断。2011年4月5日に引退届を提出し、受理されました。この突然の引退により、移籍先の朝日山部屋の力士として一度も本場所の土俵に上がることなく角界を去るという、異例の事態となりました。

引退後の活動

引退届提出の翌日にはモンゴルへ帰国。現地の家族が誹謗中傷を受けたことなども明かしています。その後、同様に八百長問題で角界を去った他のモンゴル出身力士たちと共に、モンゴル国内で騒動に関する釈明会見を行いました。断髪式は、引退から少し時間を置いて、同年5月28日に都内のホテルで執り行われました。引退後はモンゴル国内で新たな生活を始めており、現在はウランバートル市内にある警備会社でガードマンとして勤務しているとのことです。

主な成績

徳瀬川の角界での主な成績は以下の通りです。

通算成績: 46場所、223勝163敗9休
幕内成績: 6場所、48勝42敗
* 各段優勝: 幕下優勝1回（2009年5月場所）、三段目優勝1回（2006年11月場所）

自己最高位である西前頭筆頭での引退は、記録の上では皮肉なものとなりましたが、三段目、幕下での優勝や幕内での活躍など、確かな実力を見せた力士でした。

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