徳留一樹

徳留一樹（とくどめかずき）

プロフィール

徳留一樹（とくどめかずき）は、1987年 3月4日生まれ、東京都八王子市出身の日本の男性総合格闘家である。名門パラエストラ八王子に所属し、第6代ライト級キング・オブ・パンクラシストに輝いた実績を持つ。国内外の主要なリングで戦いを経験し、一度はキャリアに区切りをつけかけたものの、公務員として勤務しながら再びプロの舞台に戻ってきたという、類稀なキャリアを歩んでいる。元プロ野球選手の八木智哉は彼の義兄弟にあたる。

格闘技との出会いと黎明期

小学生の頃、テレビで観たK-1に強い関心を抱き、格闘技の世界に惹きつけられた。学生時代は部活動としてサッカーに打ち込んでいたが、負傷をきっかけに中学3年生から柔道を始める。高校では才能を開花させ、全国大会出場という実績を残した。その後、専門学校に進学し、木口道場でレスリングの技術を磨く。そして20歳の時、満を持して総合格闘技の本格的な練習を開始した。

プロキャリアの幕開けとパンクラスGP

2010年4月29日、パンクラスのリングでプロデビュー。PANCRASE 2010 PASSION TOURでの伊藤崇文戦をTKO勝利で飾り、鮮烈なデビューを飾った。同年6月にはSRC（戦極）にも初参戦し、SRC13で石塚雄馬にパウンドによる1ラウンドTKO勝利を収めるなど、キャリア初期からその攻撃力を見せつけた。2011年にはパンクラスのライト級GPに参戦。1回戦でABに、準決勝で岡澤弘太にそれぞれ判定勝ちを収め、順調に勝ち進んだ。しかし、決勝でISAOに惜しくもKO負けを喫し、トーナメント準優勝という結果に終わった。

世界の舞台、UFCへの挑戦

2013年、徳留は世界の最高峰であるUFCへの参戦を果たす。同年3月3日、UFC on Fuel TV 8にてクリスチャーノ・マルセロと対戦。この大舞台での初戦を3-0の判定勝ちで飾り、大きな注目を集めた。その後もUFCでのキャリアを重ねたが、2014年3月1日のナム・ウィチョル戦では1-2の僅差の判定で敗れたものの、この激闘が評価され「ファイト・オブ・ザ・ナイト」を受賞するという栄誉に浴した。しかし、同年9月20日のジョニー・ケース戦では、2ラウンドにギロチンチョークによる一本負けを喫し、UFCでのキャリアに区切りをつけた。

パンクラス王座獲得と再度の頂点へ

UFC離脱後、再び主戦場をパンクラスに戻した徳留は、国内のトップファイターとして活躍を続ける。2015年11月1日、PANCRASE 271で開催されたライト級キング・オブ・パンクラス決定戦で実力者・北岡悟と対戦。この重要な一戦でパウンドによる見事なKO勝利を収め、念願の第6代ライト級キング・オブ・パンクラシストの栄冠を手にした。しかし、翌2016年9月11日、PANCRASE 280で行われた初防衛戦で挑戦者の久米鷹介に1ラウンドTKO負けを喫し、惜しくも王座から陥落。2017年12月10日には再び久米鷹介とのタイトルマッチに挑んだが、1ラウンドにTKO負けを喫し、王座奪還はならなかった。

ONE Championship参戦と移籍

パンクラスでのタイトル戦線から一歩退いた後、徳留はアジア最大手の格闘技団体ONE Championshipに活躍の場を求めた。2018年7月13日、ONE初参戦となったジャダンバ・ナラントンガラグ戦では判定負けを喫したが、その後もONEのリングで戦いを続けた。2019年にはエイドリアン・バンに肘打ちでTKO勝ち、ジョニー・ヌネスに判定勝ちを収めるなど、連勝を飾る。しかし、2019年以降、1年半以上にわたり試合が組まれない状況が続き、新たな挑戦の場を求めて移籍を決意した。

RIZIN参戦と異色のキャリア形成

2021年3月21日、日本の人気格闘技イベントRIZINに初参戦。RIZIN.27で柔術世界王者ホベルト・サトシ・ソウザと対戦したが、1ラウンドに三角絞めで一本負けを喫した。この試合後、控室で引退を示唆する発言もあり、多くのファンが彼の今後を案じた。しかし、格闘家として活動を完全にやめるつもりはなく、RIZINでの次戦を希望していたという。一方で、ONEで試合が組まれなかった時期に受験した公務員試験に合格し、地元の八王子市役所に採用されたという新たな転機を迎える。これにより、金銭が発生するプロ活動や試合の継続が困難となった。

公務員としての挑戦とプロ復帰

市役所で働きながらも、徳留はプロの舞台への復帰を諦めず、練習を続けていた。そして約3年間、職場や関係者との粘り強い交渉や調整を重ねた結果、「ファイトマネーやスポンサー費用を受け取らない形であれば、プロ総合格闘技の試合に出場しても良い」という特例的な許可を得ることに成功した。さらに、地元である八王子市が彼のRIZINでの試合出場を全面的に応援してくれる体制が整ったことが、プロ復帰を決断する大きな後押しとなった。

復帰戦

2024年6月9日、RIZIN.47のリングで、ホベルト・サトシ・ソウザ戦以来、約3年ぶりとなる待望のプロ復帰戦に臨んだ。対戦相手は打撃力に定評のある宇佐美正パトリック。試合では先にダウンを奪うなど見せ場を作ったものの、相手の右フックを被弾し、惜しくもKO負けを喫した。公務員という異色のキャリアとプロ格闘家という二足の草鞋を履き、再び世界の舞台を目指す徳留一樹の今後の戦いに注目が集まる。

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