心に茨を持つ少年

「心に茨を持つ少年」（原題：The Boy with the Thorn in His Side）は、イギリスのロックバンド、ザ・スミスが1985年にシングルA面としてリリースした楽曲です。1986年のスタジオアルバム『ザ・クイーン・イズ・デッド』には、リミックスバージョンが収録されています。

背景

モリッシーによれば、タイトルにある「棘（Thorn）」という言葉は、彼を理解しようとせず、レコードをかけようともしない音楽業界の人々を指しているそうです。この曲は、彼の音楽活動に対する不満や、業界への反抗心を象徴的に表現したものと言えるでしょう。シングルのジャケットには、写真家セシル・ビートンが1949年に撮影した作家トルーマン・カポーティの写真が使用されました。これは、楽曲の持つ独特な雰囲気や、モリッシーの個性を際立たせるのに一役買っています。

ザ・スミスは、それまでミュージックビデオの制作を拒否し続けていましたが、この曲のプロモーションのため、初めてミュージックビデオを制作しました。これは、バンドにとって大きな転換点となりました。

反響

「心に茨を持つ少年」は、全英シングルチャートで5週にわたりトップ100入りを果たし、最高23位を記録しました。また、ニュージーランドのシングルチャートでは、1986年2月にトップ50入りし、2週連続で46位につけました。これらのチャートアクションは、この曲がイギリスだけでなく、国際的にも広く受け入れられたことを示しています。

その後

モリッシーは、ソロに転向してからもこの曲をライブで演奏しています。2008年にリリースしたソロシングル「ザッツ・ハウ・ピープル・グロウ・アップ」の7インチ盤には、2007年5月11日のライブ音源がB面曲として収録されました。さらに、2017年4月22日のレコード・ストア・デイには、この曲の未発表デモミックスと、ザ・スミスの楽曲「ラバー・リング」の初期バージョンを収録した7インチシングルが、1万2千枚限定で発売されました。これらの動きは、この曲が長年にわたり、多くのファンに愛され続けている証と言えるでしょう。

カバー

この曲は、多くのアーティストによってカバーされています。以下に代表的な例を挙げます。

ジェフ・バックリィ：デビュー前の1993年2月に録音しており、2016年発売の未発表音源集『ユー・アンド・アイ』に収録されました。彼の繊細で力強い歌声でこの曲がカバーされたことは、ファンにとって大きな喜びでした。
J・マスシス：アルバム『マーティン・アンド・ミー』（1996年）に収録されました。彼の独特なギターサウンドとボーカルで、この曲に新たな解釈が加えられました。
* スーパー・ファーリー・アニマルズ：アルバム『ラジエイター』（1997年）と同時期に録音され、2017年には同作の20周年デラックスエディション盤に収録されました。彼らの実験的なアプローチにより、原曲とは異なる魅力が引き出されています。

「心に茨を持つ少年」は、ザ・スミスの代表曲の一つとして、音楽史にその名を刻んでいます。その歌詞は、音楽業界への反抗心だけでなく、普遍的な感情を表現しており、時代を超えて多くの人々の心に響き続けています。また、様々なアーティストによるカバーバージョンも、この曲の魅力をさらに広げていると言えるでしょう。

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