レコード・ストア・デイ

レコード・ストア・デイとは

レコード・ストア・デイ（Record Store Day）は、2007年に始まった、年に一度の音楽イベントです。毎年4月の第3土曜日と11月のブラックフライデーに開催され、世界中の独立系レコード店を祝うことを目的としています。

このイベントは、単なるセールイベントではありません。音楽ファン、アーティスト、そして何千もの独立系レコード店が一体となり、音楽文化を共有する場です。レコード・ストア・デイのために特別にプレスされた限定レコードが販売され、各国のリリースリストとともに、イベント参加店舗でのみ入手できます。

背景

レコード・ストア・デイは、フリー・コミック・ブック・デイに触発され、クリス・ブラウンとエリック・レヴィンによって提案されました。その後、メリーランド州ボルティモアでの独立系レコード店オーナーたちの会議で、そのコンセプトが具体化しました。

創設メンバーは、エリック・レヴィン、マイケル・カーツ、キャリー・コリトン、エイミー・ドーフマン、ブライアン・ポーナー、ドン・ヴァン・クリーヴです。彼らの活動が実を結び、現在では世界中のレコード店で祝われるイベントへと成長しました。

レコード・ストア・デイでは、限定盤のリリース、アーティストによるイベント、ファンとの交流、地域コミュニティのための募金活動など、様々な企画が行われます。各店舗は、コミュニティの場としての役割を果たすため、独自イベントを開催します。また、レコード・ストア・デイの組織は、年間を通して店舗にプロモーションやマーケティングの機会を提供しています。

レコード・ストア・デイは、レコード・ストア部門、インディペンデント・ミュージック・ストア連合、インディペンデント・メディア・ストア・アライアンスによって運営されています。

影響

レコード・ストア・デイは、独立系レコード店にとって「これまでに起こった中で最高の出来事」と評されています。イベント開催時、ヴァイナル盤の売上は大幅に増加し、独立系小売業者における物理的なアルバムの売上高の割合が記録的な数値に達しました。

しかし、このイベントには批判的な意見もあります。レコードコレクター向けのイベントとして、プレス工場の能力を独占し、提携していないレコードのリリースを遅らせているという指摘があります。また、主要レーベルによるイベントのハイジャック、返品不可の方針、限定リリース作品の高額なオンライン転売なども問題視されています。

年ごとのレコード・ストア・デイ

以下に、過去のレコード・ストア・デイのハイライトを年ごとにまとめました。

2008年

メタリカがイベントを開催し、デス・キャブ・フォー・キューティー、R.E.M.など、約10の特別盤がリリースされました。アメリカでは約300店舗が参加しました。ビリー・ブラッグがイギリスのレコード・ストア・デイの立ち上げを支援しました。

2009年

スレイヤー、トム・ウェイツ、ボブ・ディランなど約85の特別盤がリリースされ、約500のアーティストが出演しました。ウィルコやイーグルス・オブ・デス・メタルがサプライズ出演し、ニューヨーク市長がイベントを公式に認めました。この年、イベントは国際的に拡大し、1000を超えるレコード店が参加しました。

2010年

ジョシュ・オムが公式アンバサダーを務めました。スマッシング・パンプキンズがコンサートを開催し、フランク・ブラック、アリス・イン・チェインズなどのアーティストも出演しました。高校生バンド・バトルも開催されました。約1,400店舗が参加し、レコード店の売り上げは前年比41％増となりました。初のブラックフライデー・レコード・ストア・デイも開催されました。

2011年

オジー・オズボーンが公式アンバサダーを務め、600人以上のアーティストがイベントを祝いました。ビースティ・ボーイズ、フー・ファイターズなどが出演し、リリースされたレコードのほとんどが世界中で300から7,000枚に限定されました。レコード・ストア・デイの週には、182,000枚の売り上げ増を記録しました。ドキュメンタリー映画『Sound It Out』が公開され、ニュー・オーダーの12インチ限定ヴァイナル盤がリリースされました。

2012年

イギー・ポップが公式アンバサダーを務め、400を超えるリリースが行われました。イギリスでは「公式レコード・ストア・チャート」が発表されました。CBCラジオで、ヴァイナル盤に関するパネルディスカッションが行われました。

2013年

共同創設者のマイケル・カーツがフランス政府から芸術文化勲章を授与されました。ジャック・ホワイトが公式アンバサダーを務めました。ザ・ホワイト・ストライプスの『エレファント』が10周年記念盤として再発され、ボーズ・オブ・カナダは新アルバムのヴァイラルマーケティングキャンペーンにレコード・ストア・デイを利用しました。

2014年

チャックDがアンバサダーを務めました。リトル・リチャード、コールドプレイ、チャーチズ、サウンドガーデンなどのアーティストが限定盤をリリースしました。

2015年

デイヴ・グロールがアンバサダーを務め、ニール・ヘフティ、フィル・コリンズ、エコースミス、ザ・ホワイト・ストライプスなどが限定盤をリリースしました。

2016年

メタリカがアンバサダーを務め、パリのバタクランでのライブ録音アルバムをリリースしました。デヴィッド・ボウイ、ボブ・ディランなどのアルバムもリリースされました。プリンスがミネアポリスのレコード店で最後の買い物をしたことが記録されました。

2017年

セイント・ヴィンセントが初の女性アンバサダーを務めました。ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第2番が限定盤としてリリースされました。

2018年

アラームが店舗を訪問し、プリンス、エラ・フィッツジェラルドなどのアルバムがリリースされました。ラン・ザ・ジュエルズがアンバサダーを務めました。

2019年

パール・ジャムがアンバサダーを務め、『MTV Unplugged』が限定盤としてリリースされました。ゴリラズ、クイーンなどのアルバムもリリースされました。

2020年

COVID-19パンデミックにより、イベントが延期され、複数の日程に分散されました。ポール・マッカートニーのデビューアルバムが50周年記念盤としてリリースされました。

2021年

フレッド・アーミセンがアンバサダーを務め、イベントは2つの日程に分けて開催されました。

2022年以降

レコード・ストア・デイは、独立系レコード店を支援する重要なイベントとして、今後も継続される予定です。

まとめ

レコード・ストア・デイは、独立系レコード店の文化を祝うだけでなく、音楽ファンやアーティストが集まり、音楽を愛する気持ちを共有する場です。限定盤のリリースや様々なイベントを通して、音楽文化を活性化させる役割を果たしています。

公式ウェブサイト
Record Store Day Japan

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