心拍出量

心拍出量について

心拍出量（Cardiac output, CO）は、心臓が特定の単位時間内に送り出す血液の量を表す循環器学の概念であり、通常dm³/minやL/minといった物理単位を用いてその値が示されます。心拍出量は、心拍数（Heart rate, HR）と一回拍出量（Stroke volume, SV）の積によって求められます。このように、心拍出量は全体的な血流の指標として重要です。

心拍出量を測定する方法には、侵襲的なものと非侵襲的なものが存在し、各方法には特有のメリットとデメリットがあります。被験者の特性に応じて適切な測定法が選ばれるべきです。また、心拍出量の値は、個々の体の大きさや体表面積（BSA）によって影響されるため、標準化するために心係数（Cardiac Index, CI）を計算することが一般的です。心係数は心拍出量を体表面積で除したものであり、体のサイズに関係なく異常指標を評価するのに役立ちます。

心拍出量に影響する要因

心拍出量は心拍数と一回拍出量のバランスによって決まります。これらの要因は以下に分けられます：

• - 心拍数に関連する要因

- 自律神経の支配
- ホルモン（例：アドレナリンの影響）

• - 一回拍出量に関連する要因

一回拍出量（SV）は、拡張末期容積（End-diastolic volume, EDV）と収縮末期容積（End-systolic volume, ESV）の差として算出されます。


SV = EDV - ESV

- EDVとESVに関連する要因
- 前負荷：静脈系から心臓への負荷
- 静脈還流の影響
- 充填時間（心臓が血液で満たされる時間）
- 心筋の収縮力
- 自律神経の働き
- ホルモンの作用
- 後負荷：心臓から動脈への圧力
- 血管の拡張や収縮

心拍出量は、動物の体重との相関があり、特に標準体重の哺乳動物においては、1kgあたり0.1L/minの関係が成立するとされています。しかし、肥満の人では体脂肪が酸素要求量に影響を与えるため、正常なCOの計算が難しくなり、複合的な指標から判断しなければなりません。

酸素運搬量との関係

心拍出量は、血液中のヘモグロビン濃度、動脈血酸素飽和度や動脈血酸素分圧と連携し、組織への酸素運搬量を決定します。具体的には、酸素運搬量は以下のように計算されます：

DO₂ = CO × CaO₂
CaO₂は酸素含量を表し、次の式で計算されます：

CaO₂（mL/dL） = 1.34 × Hb濃度（g/dL） × SaO₂ + 0.0031 × PaO₂

この結果、酸素運搬量の公式は次のように表せます：

DO₂ = CO × (1.34 × Hb × SaO₂ + 0.0031 × PaO₂)

また、体表面積で除したDO₂の値（酸素運搬量係数DO₂I）は、普通は520から720 mL/min/m²の範囲内であることが望まれます。

結論

心拍出量は心身の健康状態を示す重要な指標であり、様々な要因によって影響を受けます。これにより、心拍出量を正確に理解することは、医療においても非常に重要です。この知識を用いて、より効果的な健康管理や治療が実現されることが期待されます。

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