忍山神社

忍山神社 (おしやまじんじゃ)について

三重県亀山市野村に位置する忍山神社は、式内社としての歴史を有しております。この神社は主祭神として猿田彦命や天照大神を祀っており、合祀祭神には天児屋命も含まれます。古代の伝承によれば、紀元前91年には物部氏の祖・伊香色雄が神の蔵に猿田彦命を鎮座させ、その後も大水口宿禰の長い血脈によって神主が務められてきました。特に、垂仁天皇の皇女である倭姫命が忍山に遷幸した際に、半年の間を過ごし、天照大神を奉ったことが伝えられています。

また、忍山神社は弟橘姫命の生誕地ともされ、この姫君は神主・忍山宿祢の長女であり、景行天皇の王子・ヤマトタケルの妻として知られています。ヤマトタケルは当地を訪れた際、弟橘姫命と結婚し、東征の旅に同行しました。道中、彼らが相模の海で遭遇した嵐を鎮めるため、弟橘姫命は自ら海に入水するという芸のある逸話があります。

中世・近世の歴史

平安時代には平重盛によって社殿が造営されるなど、社勢は一時的に盛大でしたが、文永の役により社殿は失われ、布気神社の境内にて仮宮が設けられました。室町時代には、文明5年に兵火によって社殿が焼失し、その後も戦国時代に再び災厄に見舞われました。しかし、江戸時代には神官の邸宅が建設され、後に亀山神社に移築されました。1955年には「大久保神官家棟門」として亀山市指定文化財に認定されています。

近現代の動向

1908年には、周辺の村社や無格社を合祀し、より大規模な神社へと発展しました。1917年には、鎮座2000年祭を斎行し、現在も野村や和賀地区の氏神として人々から敬いを受けています。

境内の見どころ

忍山神社の境内には、以下の建造物が存在します：本殿、社殿、社務所、手水舎、南参道と東参道の鳥居などがあります。また、亀山市には巨木や古木も多く、その中でも特に目立つ二本の木があります。一つはモチノキ科のクロガネモチで、本殿の右側にそびえ、周囲263センチメートル、樹高11.5メートルに達しています。もう一つはイヌガヤ科の古木で、南側の入口付近に立っています。

神事と祭りの魅力

神社では秋の例祭が盛大に行われ、特に「傘鉾」巡行が有名です。これは1952年に亀山市の無形民俗文化財に指定され、毎年10月14日に行われています。巡行のルートや仕掛けは、町内での協力によって成り立っており、地域の結束を感じられるイベントです。傘鉾は新調されるたびに、赤、青、白、黄、緑の五色の色紙が貼り付けられています。この行事は、かつて能牟良神社の祭礼時に行われていたものが忍山神社に受け継がれ、さらなる地域への広がりを見せています。

アクセス

忍山神社にアクセスするには、最寄りのJR関西本線・亀山駅から徒歩で約25分かかります。自然豊かな環境の中で、歴史的な神社を見学し、地域の文化に触れることができる貴重な場所です。神社自体が時代を超えた魅力を持つこの場所を、ぜひ訪れてみてください。

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