志林規島

志林規島（しりんきとう）

志林規島は、千島列島の北部に位置する火山島で、ロシア名ではアンツィフェロフ島（о. Анциферова）、英語ではAntsiferovと呼ばれています。この島は幌筵島南西端の樺里埼（ロシア名：カプエトヌイ岬）から約15キロメートル離れた場所にあり、直径約3キロメートルのほぼ円形をした島です。中央部には海抜761メートルの蓮華岳（ロシア名：シリンキ山）がそびえ、壮観な風景が広がっています。

地理的特徴

志林規島の南端は、千島列島一帯のトドの主要な繁殖地として知られています。また、島の斜面には捕食者が少ないため、フルマカモメやエトピリカといった鳥類が多数生息しており、繁殖のためのコロニーを形成しています。その他にも、ミツユビカモメ類やハシブトウミガラスなども目にすることができます。

この島の形状はほぼ円形であり、海岸は急な崖が連なっているため、上陸できるポイントは限られています。また、たとえ上陸できても、切り立った崖が進行を妨げることになります。加えて、船での接岸が困難なこともあり、北側の浜辺には15から20メートルの深さのポイントが存在します。

重要な生態系を保護するため、ロシア連邦は志林規島周辺での漁業活動を禁止しており、許可なく島に近づいたり上陸したりすることを禁じています。これにより、島の自然環境が守られているのです。

島名の由来

志林規島の名前はアイヌ語の「シ・リン・キ」に由来し、意味は「ひどく波立つ所」と解釈されています。また、ロシア名のアンツィフェロフは、18世紀初頭にこの地域を探索したコサックの首領、ダニロ・ヤコブレヴィチ・アンツィフェロフから名付けられたものです。彼は毛皮税を徴収するために北千島へと遠征しました。

歴史的経緯

島の歴史を辿ると、1700年（元禄13年）には松前藩が幕府に提出した松前島郷帳に「しりんき」の名が登場しています。その後、1855年（安政元年）に締結された日露通好条約によってロシア領となり、さらに1875年（明治8年）には樺太・千島交換条約の結果、日本領土となりました。日本では、現在の根室振興局にあたる北海道根室支庁の占守郡に属していた時期がありました。

今日では日本政府は国際法的見地からこの地域を帰属未定地と主張していますが、ロシア連邦が実効支配を行っています。これにより、志林規島は政治的にも注目される地域となっているのです。

関連項目

他の島についての情報や、関連する文献として『北方領土地名考』が1980年に発行され、北方領土問題に関する研究が実施されています。

まとめ

志林規島は、その独特な地理と豊かな生態系により、重要な見所の多い地域です。野生動物が豊富に生息する環境が守られ、観光や研究の面でも注目されている場所です。

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